EVENT | 2022/12/27

SNS誹謗中傷、ファスト教養の功罪、キャリアとお金のバランス…FINDERS編集部オススメ2022年ベスト記事16選!

文:神保勇揮(FINDERS編集部)
2022年ももうすぐ終わり。FINDERSでは今年もたくさんの記事をアップしてき...

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文:神保勇揮(FINDERS編集部)

2022年ももうすぐ終わり。FINDERSでは今年もたくさんの記事をアップしてきましたが、まだまだ多くの方に読んでいただきたいオススメ記事がある!ということで、今年公開し反響が大きかった連載記事+αを、全16本をご紹介。

帰省のための移動、自宅での手持ち無沙汰な時間のお供に楽しんでいただければ幸いです。

「徳島から米国名門大へ留学する女子学生を気持ちよく応援できない日本に未来はない」という話について

(連載:あたらしい意識高い系をはじめよう)

多くの記事がSNSで賛否両論となる経営コンサルタント・倉本圭造さんの連載。

この数年、Twitterでは企業・団体だけでなく個人に対して大量の誹謗中傷が向けられてしまう炎上がますます増えています。そのあんまりな光景に心を痛める人も多ければ、そういう姿にこそ腹を立てる人も少なからずおり、泥沼のような様相に。こうしたハレーションが起こった際、どのように問題を解きほぐし、ある種の「賛成/反対」的な争いの落とし所を見つけるにはどうすれば良いか、という点を解説いただきました。

ちなみにこの記事は編集プロダクションの有限会社ノオトが主催する、優れたウェブメディア記事をピックアップするトークイベント「#推し記事2022」でも選出いただきました。

「日本の25年落ち軽トラ」がアメリカで大活躍!?熱心なコレクターまで現れる理由

(連載:幻想と創造の大国、アメリカ)

エッセイスト・洋書レビュアーの渡辺由佳里さんの連載。

日本のクラシックカーが海外の自動車オタクから人気を博していることは耳にしていましたが、なんと軽トラまでも人気だったとは…。コレクトするだけでなく実際に農場で使い倒してもいる「実業家A氏」のインタビューをお楽しみください。

「僕はウクライナ人選手だ。やがて植民地か廃墟にされる国の選手だ」プロゲーマーの衝撃の一言が浮き彫りにする「戦争と競技のコントラスト」

(連載:ゲームジャーナル・クロッシング)

TBSラジオ「アフター6ジャンクション」などでも活躍するゲームジャーナリストJiniさんによる連載。

エルデンリング論やマイクロソフトによるActivision Blizzard買収関連の興味深い記事も多数執筆いただきましたが、やはり2022年の出来事として忘れてはならないのは、ロシアによるウクライナ侵攻が与えたゲーム業界への影響。世界大会が多数行われているeスポーツ界には、当然ながらウクライナ出身の選手もロシア出身の選手もいます。そうした場所で一体どんな出来事が起こったか。ご覧いただければと思います。

またJiniさんには2022年のゲーム業界を振り返った記事も寄稿いただきました。こちらも併せてぜひ↓

2022年のゲーム業界を揺るがした「4つのビッグニュース」。エルデン1750万本の大ヒットから難航する過去最大の買収劇まで

ウクライナ難民と受け入れた日本人建築家に聞く「国外退避」の困難

(連載:オランダ発スロージャーナリズム)

ヨーロッパのサステイナブル関連の話題を数多く執筆いただいている吉田和充さんの連載。こちらもウクライナ侵攻関連の話題です。

本記事ではウクライナからオランダに避難してきたベラさんとミハイル君に話をうかがっています。「自国が侵略されてるんだから今すぐ避難しなきゃダメだよ!」と思ってしまいがちですが、今の仕事も何もかも放り出し、避難先での生活を安定させられる保証もゼロなのに着の身着のままで動き出すことは本当にできるのか。戦争の災禍を自分事として追体験できるような優れた記事だったと思います。

余談ですがこの記事はYahoo!ニュースでも結構なPVが出たものの、コメント数はなんとゼロ。大抵は罵倒のようなコメント含め何かしらつくので、初めての経験でした。ある意味(?)真剣に読んでいただけたのかもしれません。

天才ハッカー、バニー・ファンを追いかけ40代半ばで深圳に移住。「中年のキャリア危機」を脱出し「オープンハードウェアおじさん」として食えるようになった話

(連載:高須正和の「テクノロジーから見える社会の変化)

中国・深圳に在住し、最先端のハードウェアを中心としたテクノロジー動向を追いかける高須正和さんの連載。

本記事では誰にでも起こりうる「中年のキャリア危機」を自身がどう克服していったかという経験を執筆いただきました。2010年代初頭に日本でも話題になった「メイカームーブメント」の当事者目線での振り返りとしても貴重な証言だと思います。

大麻取締法の改正で光が当たる「古くて新しい農作物」。地方創生の可能性を探りたい

(連載:大麻で町おこし?大麻博物館のとちぎ創生奮闘記)

実は制定から70年以上ぶりの改正がほぼ確定している大麻取締法。法改正がなされても、いきなり日本で嗜好用大麻が解禁されるわけではないですが、一方で近年アメリカ、ドイツ、タイなど世界各国で解禁の実施や検討が行われてきているのも事実。

そんな中、栃木で20年以上私設博物館として運営されてきた大麻博物館さんの連載がFINDERSでスタートしています。法改正によって一体どのような合法的事業が可能になり、そこまでにどんなハードルがあり、それをいかに乗り越えていくか。今後も実録ドキュメントとして執筆いただく予定です。

人気絶頂時にぼくりりを辞職。たなかは「20歳からのセカンドキャリア」をこう生き延びた

(連載:Z世代の挑戦者たち)

祝・ご結婚!Z世代の若手を紹介する連載で、元ぼくのりりっくぼうよみ、現たなかさんのインタビューを掲載しています。聞き手は彼をデビュー時から追いかけてきた音楽ジャーナリストの柴那典さん。

創作物や活動そのものの話だけでなく、それらを「若者のキャリア形成」という観点から振り返っていただくという、他ではあまり見られない興味深い内容になっており、大人世代の皆さんにとってもぜひ読んでいただきたい記事になっています。

「知事や市長を変えたけど何も改革できないね」問題を根本的に解決する学校を作ってみた

(連載:ウィズコロナの地方自治)

前滋賀県湖南市長の谷畑英吾さんによる連載。

広義の地方自治に関する話題は難しい制度や法律を理解しないといけなさそうで…と敬遠してしまう人も多いかもしれませんが(自分もそうです)、その困難を抱えているのは新人首長も同様だという、考えれば当たり前ではあるものの結構衝撃的な記事です。

ですがこの状況を放置して困るのもまた我々住民であり、それを何とかするための「首長の学校」を谷畑さんが設立。一体何を教えているのか、若手首長たちは何に困っているのか、そしてなぜ選挙時に散々訴えられてきたはずの「改革」が実現しないのは何故か。この記事を読んでいただければその一端がわかります。

「こんなに酸素レベルが下がると助けられない」大学病院のICUで3週間呼吸停止し死にかけた話

(連載:アクティビスト・小玉直也の「こんな人生があるのか!?」)

NPO法人アースウォーカーズの代表理事として活躍する、小玉直也さんの「マジかよ!」なショッキング体験を語っていただくインタビュー連載。

まさにタイトル通りのほとんど臨死体験が語られているわけですが、こうして語っていただいている通り小玉さんは無事生還。そういう意味では(?)安心して読み進めていただければと思います。

東山魁夷の代表作を無断複製して逮捕。ベテラン摺師はなぜ犯行に手を染めたのか(前編)

(連載:阿曽山大噴火のクレイジー裁判傍聴)

裁判傍聴芸人として名高い阿曽山大噴火さんによる連載。

本件は逮捕時点で大手メディアでも少なからず取り上げられたものの、その後の裁判の推移はあまり取り上げられないか話題にならないことも多く、そうした意味では貴重なレポートとなっています。

* * *

ここまでは連載記事のご紹介でしたが、以後はFINDERS編集部による取材記事の中でも特にオススメしたい5本をピックアップします。

富野由悠季が問いかける「未来の問題」 非ガンダムファンこそ『G-レコ』を観るべき理由

完全に私事ですが、編集者・記者としていつか絶対に取材したいと夢見てきたのがガンダムの生みの親、富野由悠季監督です。10年近くに及ぶ製作期間を経て、遂に完結したアニメ『Gのレコンギスタ』の、劇場版最終章公開記念インタビューを実施する機会をいただきました。

富野監督はこれまでも社会問題を多数劇中に織り込んできたクリエイターです。『G-レコ』では地球環境の問題、際限なく膨張を続ける資本主義の問題、技術革新が戦争の悲惨さを増幅するばかりになっている問題など、過去最大の盛り込みっぷりにも関わらず、他のメディアでは「アニメ自体の話」をしっかりする必要があるため(当然ですが)、「具体的に何を問題視し、それが作品でどう反映されているのか」という話が部分的にしか語られていませんでした。

そういう時に新興メディアは先陣切って突入しなきゃダメだろう!ということで、まさにそれをやっていただきました。要するに「ガンダムの話」すらほとんどなされていないので、「ガンダム全然観てないし詳しくないしな…」という方ほど読んでいただきたいインタビューです。そして『G-レコ』、マジで大傑作なので絶対観てください!!!

エリート会社員も気に病む「無限スキルアップ地獄」、それを煽る「ファスト教養」の圧力…時短とクオリティを両立する情報摂取は本当にできないのか?(前編)

FINDERSでの寄稿がきっかけとなり、なんと1冊の新書が誕生。ライターのレジーさんによる『ファスト教養』がそれです。共鳴するテーマ(ファスト映画/倍速視聴)として今年大いに話題になった稲田豊史さんの『映画を早送りで観る人たち』と並べて語る人も多かったですね。

本記事はこれまでのレジーさん寄稿記事の編集を担当していた筆者(神保)が、『ファスト教養』についてバンドのアルバム全曲インタビュー的に根掘り葉掘り聞きまくりました。「多くの人が思ってたけど言語化されていなかったイメージ」だったからこそ言葉としても結構流通していましたが、一方で「どういうことなのか」を説明しようとすると意外と難しいのがこの概念。時間もお金も不足しまくる現代社会で、いかに「教養」を身に着けられるのか。この機会にぜひ考えてみてほしいテーマです。

誰もが憧れるプロスポーツチームだけど、売上高は中小企業並み?応援よりも投資が救うスポーツビジネスのこれから

日米でバスケットボール選手として活躍した経験を有し、現在はプラスクラス・スポーツ・インキュベーション株式会社にて代表取締役を務める平地大樹さんのインタビュー。

2022年は北京冬季オリンピックあり、カタールサッカーW杯ありとたくさんのスポーツの話題で盛り上がりましたが、一方で「日本のスポーツビジネス」に目を向けると、たとえ新型コロナウイルスのパンデミックがなかったとしても多くの課題を抱えていたのも事実。

健全に稼ぎ、スポーツ文化を持続させていくためには何が必要なのか。そのためのカギを語っていただきました。

「キャリアとお金の話もちゃんとする」映像業界のリアルと夢を考えた

2022年6月に行われた、映像制作にまつわるさまざまな知識やTipsを紹介するサービスを展開するVook社によるカンファレンス「VIDEOGRAPHERS TOKYO 2022(VGT)」の主催者インタビュー(イベントレポートも併せて掲載)。

FINDERは「クリエイティブ×ビジネス」をテーマに創刊したメディアなのですが、こうやって記事を並べてみてもあまりに内容が広がりすぎてきてしまったなという反省もあります。

2023年は特にクリエイティブ業界で働く方々、あるいはそれぞれのフィールドでクリエイティビティ(目的達成に向けた地道な工夫やアイデアとも言えますね)を求められる方々に向けた記事を作っていく予定です。ご期待ください。