BUSINESS | 2025/10/10

書店員が創る 「日本一面白いフェア」 を競う Book Fair Championship 第2回大会が始動

角田光代氏が新審判員に就任し、書店員の創造力が輝く“本の甲子園”が開幕

文・カトウワタル (FINDERS編集部)

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出版業界を横断する異例のコンペが再び開催

全国の書店員が自らの発想と情熱で企画する 「日本一面白い書店フェア」 を競う出版業界横断プロジェクト 「OVOL 日本紙パルプ商事 presents Book Fair Championship (BFC)」 が、第2回大会のエントリー受付を開始した。実行委員長は、梅田 蔦屋書店店長であり 「書肆汽水域」 代表でもある北田博充氏。昨年の第1回大会では154件もの応募が集まり、書店の現場から生まれる独創的な企画が話題を呼んだ。

今回の第2回BFCは、初代チャンピオン・久保田理恵氏 (MARUZEN&ジュンク堂書店 新静岡店) によるタイトル防衛戦として開催される。新たに直木賞作家・角田光代氏を審判員に迎え、作家・滝口悠生氏、書店主・久禮亮太氏とともに審査を行う。角田氏は 「フェアで出合えた本が、あらたな光をあびて私の前にあらわれてくれる。その喜びを分かち合いたい」 とコメントしている。

滝口悠生(たきぐち・ゆうしょう)
小説家。1982年、東京都生まれ。2011年「楽器」で新潮新人賞を受けデビュー。2015年『愛と人生』で野間文芸新人賞、2016年「死んでいない者」で芥川賞、2022年『水平線』で織田作之助賞、2023年同作で芸術選奨、「反対方向行き」で川端賞。他の著作に『寝相』『茄子の輝き』『高架線』『やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記)』『長い一日』など。
久禮亮太(くれ・りょうた)
1975年生まれ、高知県出身。書店員として会社勤務とフリーランスを20年ほど続けたのち、現在は目黒、五反田からほど近い不動前で『フラヌール書店』の店主をしながら書店チェーンのアドバイザーや執筆活動をしている。著書に書店員の仕事と売り場作りの考え方をまとめた『スリップの技法』(苦楽堂)と、共著に『本を贈る』(三輪舎)がある。
角田光代(かくた・みつよ)
作家。1967年、神奈川県生まれ。1990年『幸福な遊戯』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。2005年『対岸の彼女』(文藝春秋)で直木賞、2007年『八日目の蝉』(中央公論新社)で中央公論文芸賞を受賞。近著に『タラント』『神さまショッピング』など。
(撮影:森清)

BFCでは、フェアの独自性・提案性・芸術性の3軸を評価基準に設定。第1回に続き、優勝者には賞金10万円とチャンピオンベルトが授与される。また今回は新たに 「BFCオリジナルZINE」 を制作し、読者も一次投票に参加できる仕組みを導入。書店と読者をつなぐ双方向の試みとして、業界関係者のみならず一般読者にも開かれたイベントへと進化を遂げる。

さらに、前回大会で上位入賞した書店員や協賛企業賞受賞者のインタビューを、公式YouTubeチャンネルで毎週配信中。フェアづくりの舞台裏や発想の源泉が共有され、全国の書店員にとって学びと刺激の場となっている。

北田実行委員長は、「フェアとは、書店員が読者と世界をつなぐ“実験”の場。第2回BFCでは、より多くの書店がその創造力を発揮し、出版文化の未来を拓くきっかけになることを期待している」 と語る。

出版不況やデジタル化の波が語られるなかでも、現場の書店員たちは本と人を結ぶ新しい取り組みに挑戦している。BFCの今後の展開に注目したい。


OVOL 日本紙パルプ商事 presents Book Fair Championship (BFC) 第2回大会
エントリー期間:2025年10月1日(水)~11月30日(日)
一次投票:2025年12月3日(水)~12月14日(日)
ベスト10発表:2025年12月22日(月)
チャンピオン発表:2026年2月2日(月)
賞金:10万円/優勝ベルト授与
実行委員長:北田博充(梅田 蔦屋書店店長)
新審判員:角田光代(作家)

公式サイト
https://book-fair-championship.com/

公式X
https://x.com/BookFairCP