爪の変化が患者に与える心理的負担に対応する一冊
がん治療に伴う副作用として多くの患者が悩むのが、爪の変色や変形である。こうした外見の変化は脱毛と同様に患者の心理的負担となり、生活の質にも大きな影響を及ぼしている。株式会社河出書房新社は、こうした課題に応える初の専門書『がん治療における爪のアピアランスケア』(税込定価5,940円)を7月11日に刊行した。
本書は、東京大学医学部附属病院でアピアランスケアに尽力してきた分田貴子医師が監修し、日本のネイル技術を牽引してきた小笠原弥生氏、アピアランスケアサポート研究会共同設立者の大江身奈氏が共著。爪の外見ケアに特化した専門書として、実践的な内容をオールカラー図解でわかりやすく解説している。
本書では、抗がん剤治療に伴う爪や皮膚の変化の知識から、ファイリングやキューティクルケア、カラーリング、さらには心理的サポートとしての傾聴まで、実践的なプロセスを段階的に紹介。医療従事者と連携しながら活動してきたネイリストの経験に基づいた具体的なケア方法が掲載されている。
また、皮膚や免疫、栄養学に関する基礎知識も盛り込み、患者本人だけでなく、その家族や医療従事者、美容従事者など、爪のアピアランスケアを学びたいすべての人が教科書的に活用できる内容となっている。
爪のケアを通じて患者の生活の質を支えることを目的とした本書は、医療と美容の専門性が融合した新しいアプローチを示す一冊だ。





小笠原弥生(おがさわら・やよい)
アピアランスケアサポート研究会 代表
ネイリスト、栄養士。2000年にジェルネイルの技術を習得後、日本のジェルネイル第一線ネイリストとして活躍。セミナー、講演会、美容学校などで、ネイリスト育成、技術指導を広く行う。2019年に日本ネイリスト協会理事に就任。2020年にアピアランスケアサポート研究会を設立。現在は爪のアピアランスケアのオンライン講座をメインに、がん患者を支援する爪のアピアランスケアの啓発や教育、アピアランスケアサポートネイリストの育成にも取り組む。
大江身奈(おおえ・みな)
アピアランスケアサポート研究会 副代表
ネイリストとして活躍する一方、病気でも自分らしく生きる人を支援したいと「化学療法中のネイルケア」の講演やネイルサービスを開始。2013年より分田貴子医師のもと、外見ケアイベントに参加し始める。現在は、東京薬科大学の非常勤講師、国立がんセンター東病院LIFE支援センター主催のネイルサービス参加など、医療現場と連携しながらの爪のアピアランスケアをライフワークとして実践。患者や医療従事者向けの爪のアピアランスケア講習や、講演活動も多数行っている。
アピアランスケアサポート研究会
アピアランスケアをサポートする方々への教育を推進することを目的として、2020年に設立。特に爪のアピアランスケアのサービスを通じて、自身の職域と立場をわきまえた上で、患者の生活の質を保つ支援と、心のサポートを行うことを目的とした多くのピアランスケアサポートネイリストが所属している。
医療従事者や一般の方々に対して、アピアランスケアの基礎知識や技術を提供する教育プログラムを用意し。講義やワークショップを通じて、最新の情報や実践的なスキルを学び、実際の支援活動に役立てることができるようサポートもしている。
がん治療における爪のアピアランスケア
監修:分田貴子(医師・医学博士/東京大学医学部附属病院 がん相談支援センター)
著者:小笠原弥生・大江身奈(アピアランスケアサポート研究会)
仕様:B5変形/並製/144P/オールカラー
発売日:2025年7月11日
価格:5,940円(税込)
発行:株式会社河出書房新社
河出書房新社 書籍ページ
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309294926/
アピアランスケアサポート研究会
https://www.apcare-support.com