EVENT | 2022/02/28

史上最年少で「未踏スーパークリエータ」認定。10代からスタートアップで働く、若手エンジニアのキャリア観【連載】Z世代の挑戦者たち(7)

今回インタビューする岡田侑弥(ゆうや)さんは、2015年に14歳にして史上最年少で「未踏スーパークリエータ(※)」に認定...

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リクルート、メルカリのインターンを経験

―― 引き続き、岡田さんのこれまでキャリアについて伺っていきたいのですが、チームラボを離れた後、リクルート、メルカリの2社を経験されたとのことですね。

岡田:大学3年の時に、リクルートが2daysのインターンをやるらしいと友達から教えてもらったんですよ。そのインターンはテクノロジーはまったく関係ないものだったんですが、2日間参加すると報酬が10万円出ると聞いてそれはお得だなと(笑)。加えて、リクルートはスタディサプリという教育系アプリのビジネスをやっていて、日本の教育×IT分野では圧倒的1位なのでそういった面でも興味があって、情報収集も兼ねて参加しました。

インターンは2日間で普通に終わったんですが、ちょうどリクルートがアルバイトや業務委託で学生を雇うことを実験的に始めたタイミングでもあったので、インターン後に人事の方から連絡をいただいて参加することになったんです。中でもリクルートが最初にやってみたかったのがプロダクトの企画系や、エンジニア、デザイナーの各チームのハンドリングをやっているチームでの募集で、それに誘っていただき、スタディサプリのプロダクトマネジメント室で新サービスの企画を3カ月間やりました。

次のメルカリはみなさんご存知のようにものすごく技術が優れた企業で、しかも即戦力しか採用しないので、社内にいるエンジニアはすごい方ばかりです。プロフェッショナルだけが集まっているというのはお互いに高め合っていける、技術者にとってはものすごくいい環境なんです。

あとは自分は若干海外志向があるタイプで、コロナじゃなければ大学を卒業したら海外に行こうかなと思っていたぐらいなんですが、メルカリは今新しく採用している人の8割は外国籍の方で、日本人は2割ぐらいしか採用していないんですよ。グローバルなダイバーシティがある環境は自分も良いなと思っていたので、この先の自分の進路としても興味があり、インターンシップに参加しました。

―― メルカリでもエンジニアにだけ集中するのではなく、ビジネスとの両立を意識していたんでしょうか?

岡田:もちろんです。肩書きとしてはソフトウェアエンジニアとして入りましたが、インターン参加前からビジネスとの掛け合わせについては話をしていたので、業務時間を分割して、半分はエンジニアリングをやって半分はプロダクトマネージャーをやる感じで、「メルペイ」というプロダクトに関わらせていただいていました。

その後、知り合いがやっているFLASPOというスタートアップに誘われたので、外部CTOという形でこちらに移りました。

プラゴで「EVが当たり前にある未来のニーズ」を作り出す

岡田さんがプラゴで制作に携わっている、EV充電スポットの予約アプリのデモ画面

―― そして現在のPLUGO(プラゴ)へと入社されたとのことです。どのようなきっかけだったのでしょう?

岡田:Wantedlyを見ていたらプラゴのページがあって、事業内容がものすごく面白いなと思ったんです。当時は創業したばかりで、まだメンバーがファウンダーの3人だけ。3人とも別の会社も経営しているので、フルコミットしている人は一人もいない頃です。それで一度話を聞いてみたいと思って2020年に会いに行きました。それで顔合わせの後に入らないかと誘っていただいたんですが、自分自身の状況的にもすぐにエントリーできる形ではなかったので一回流れたんです。

それで2021年の4月に、社長の大川からランチしませんかというメッセージをもらって会社の近くにパスタを食べに行ったんですよ。そこでは「今の会社の段階としても、これからソフトウェアは内省できるチームを持ってちゃんとやっていかなきゃいけない」という話が出て、ちょうど自分もメルカリのインターンが終わって、知人が始めたスタートアップの手伝いも一段落した頃だったので、リソースに空きができたというタイミングだったので、お互いにいいタイミングだったので21年の5月から業務委託のかたちでジョインすることになったんです。

―― プラゴのどういったところに魅力を感じたんですか?

岡田:一番はビジョンですね。まだまだ普及が進んでいないEV利用のための環境を整える、まだニーズがないことだけど、そのニーズ自体を作っていく、ニーズがある未来を作っていくのがプラゴの使命みたいなところがあって、描いているビジョンとしてもものすごく納得感がある。それでいてとても挑戦的なことをしている姿勢に魅力を感じたんです。

自分はずっとお金を軸としない仕事ができる環境でしたし、お金を稼がないといけないというタイミングでもなかったので、やっぱりビジョンを持って仕事がしたかった。その考えとものすごくマッチしたということがありました。

事前の予約を行い、スポットに到着した時にスマホでQRコードを読み取ると充電が開始される

―― 現在はどのような業務を担当されているのでしょう?

岡田:2022年からは執行役員VPoE(バイスプレジデント・オブ・エンジニアリング)という肩書で、プラゴが設置するEV充電ステーションの予約用のモバイルアプリの開発と、それを制御するためのシステムの開発を進めているところです。EVの充電ステーションはまだまだ数が少ないこともあり、「行ったけど充電器が全部埋まっていてバッテリー切れになってしまった」という悲劇が起こってしまいがちですので、事前予約ができるようなシステムを作っています。使用料金もアプリに登録したクレジットカードから落ちるようになっているので、予約して使ってそのまま帰る、という仕組みとするべき実証実験を進めている段階です。

あとは先程もお話したように、ビジネスとソフトエンジニアリングの間をやるという軸があったのでチームビルディングをやるための採用とか、そもそも何を作るかというプロダクト設計のところから、実際にどうやって作るかという開発側の設計、実際に自分で手を動かしてソースコードも書いているという関わり方をしています。

10年後の想像は絶対に外れるので長期目標は持たない

―― 岡田さんはそもそも、なぜエンジニアの部分だけではなくビジネス面へのコミットも強く志向されているのでしょうか?

岡田:ビジネスを自分のもう一つの軸としてやっていきたい、と思ったきっかけが未踏だったんですよね。未踏事業はOB・OGの方々と強いコミュニティがあって、定期的に集まる会もあるんですよ。そして現役生の方のプレゼンになると卒業生がみんなで見に行って、いろいろツッコミを入れて議論するという、現役生からするとめちゃくちゃ怖いイベントがありまして。

―― そうそうたるメンバーからフィードバックをもらうことになるわけですね。

岡田:もちろん全員が味方なので「こいつ、潰してやろう」ということではないですし、プロジェクトをより良いものにしていくための指摘であることは十分わかっているのですが、それでもプレゼンの前は怖くなるという(笑)。

―― 正論であるとわかる故に辛いということですね(笑)。

岡田:未踏OB・OGの方々には後に経営者なった人も多いので、コミュニティの中でも「最上級の技術を持った上で、それを活かしてビジネスをやるという人は貴重だから、その道を目指してほしい」という話をよくされたことが強く影響していますね。

あとは自分の年齢的にもスタートアップで仕事をすることが多かったので、そうすると経営と距離が近いじゃないですか。経営陣と普段から話すことも多いし、会社によりますけど財務諸表を見せてもらえたりもする。そういう経験を通して知識が徐々についてきたということもあります。

何度も言うようですが、この頃からエンジニアというよりも、エンジニアリング×経営という二つの軸を持ってやっていきたいと思っていたんです。ただのエンジニアになるでもなく、ただの経営者になるでもなく、その両輪を回せて、その二つをつなぐ場所にいたいと思っています。

―― 最後に、今後やっていきたいことがあれば教えてください。

岡田:長期的なプランは、あえて決めないようにしています。テクノロジーの業界は日進月歩なところがあって、今想像している10年後と実際の10年後は絶対に合わない。なので10年前に決めたプランでそのまま行くことは基本的にないと思うんです。

それに加えて将来のプランというと、「この人みたいになりたい」と考えることになると思うんですが、結局すでに活躍してる人の立場や役割を想像することになる。自分はユニークであることを大事にしていて、自分がなりたい姿を今の自分の価値観、あるいは周囲の既存の価値観で決めるのは良くないんじゃないかなと思っているんです。なのでその時々に自分が一番できることをやる、今を生きる、みたいなところをどちらかと言えば意識しています。

短期で言うと、実は来年度からメルカリへの入社が決まっているんですが、プラゴとダブルワークで進めて行く予定です。プラゴにはスタートアップのフェーズというか、自分でチームをつくるところからやってきてものすごく価値を感じているし、この会社のビジョンにも自分はとても共感しているので、プラゴを自分が上場させるぐらいの意識を持って一緒にやっていきたい、新しい景色を一緒に見ていきたいと思っています。


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