CULTURE | 2025/07/15

渋谷のトイレがアート空間に変貌。
森山大道の写真展 「THE TOKYO TOILET」 が開催

世界的写真家・森山大道が撮る渋谷の公共トイレ。
11か所で繰り広げられるインスタレーション展示

FINDERS編集部

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写真がトイレをアートに変える。渋谷区と森山大道が手がける新たな都市体験

渋谷区は、区内に整備された公共トイレを舞台に、写真家・森山大道による写真展「THE TOKYO TOILET / SHIBUYA」を開催する。会期は2025年7月19日(土)から9月23日(火)まで。舞台となるのは、THE TOKYO TOILET (以下TTT) プロジェクトにより整備された17か所のうち、11か所の公共トイレだ。

このプロジェクトは、世界的に評価を受けてきた森山大道の写真作品を、公共トイレという日常の空間でアートによってまったく新しい体験へと生まれ変わらせる試みである。展示は各トイレの個性を活かした構成で、単なる写真展示にとどまらず、森山の写真がプリントされた特製トイレットペーパーの設置など、ユニークな演出も取り入れられている。訪れる人々は、都市の中に埋もれがちな場所に、視覚的かつ身体的に向き合うことになるだろう。

TTTは、誰もが快適に使える公共トイレを、優れた建築・デザインの力で再構築することを目的に2018年に始動したプロジェクトだ。国内外で活躍する建築家やクリエイター16人が参画し、渋谷区内のトイレ17か所を刷新。その先進的な取り組みは、2022年の 「THE TOKYO TOILET / MILANO」、2023年の 「THE TOKYO TOILET / PARIS」 といった国際的な展示にもつながってきた。

今回の展覧会にあたって、渋谷区長・長谷部健 「トイレの清潔さを保つことはもちろん、公共トイレを大切に使おうという意識を持ってもらいたい。そのきっかけとなる展示になることを願っている」 と語る。また森山大道自身も 「街で撮った写真を街に返すという行為。写真が匿名性を獲得し、人の記憶の中で姿を変えていく。それが写真の力だ」 と語り、本展への思いをにじませている。

公共空間としてのトイレを、単なる機能的施設ではなく、美意識と創造性の交差点として捉え直すこの試みは、都市におけるデザインとアートの役割を改めて問いかける。訪れる人々にとって、用を足すという日常的な行為が、思わぬインスピレーションの起点となるかもしれない。

ぜひ渋谷を訪れた際は、TTTプロジェクトを実施しているトイレを利用してみてほしい。

Photo by Daido Moriyama
Photo by Daido Moriyama

森山 大道(Daido Moriyama)

写真家

1938年(昭和13年)大阪生まれ。写真家・岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て1964年(昭和39年)に独立。写真雑誌などで作品を発表し続け、1967年(昭和42年)「にっぽん劇場」で日本写真批評家協会新人賞受賞。2012年(平成24年)、ニューヨークの国際写真センター(ICP)が主催する第28回インフィニティ賞生涯功績部門を受賞。2016年、パリ・カルティエ現代美術財団にて2度目の個展「DAIDO TOKYO」展を開催。2018年(平成30年)、フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」が授与された。2019年(平成31年)、ハッセルブラッド財団国際写真賞受賞。


THE TOKYO TOILET / SHIBUYA
会期:2025年7月19日(土)〜9月23日(火)
会場:渋谷区内の公共トイレ11か所
主催:渋谷区
企画:MASTER MIND LTD.
協力:MATCH&CO / TANK / SKWAT / SWITCH
写真:森山大道

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THE TOKYO TOILET