EVENT | 2021/10/15

日本発のステーブルコイン「JPYC」が日本人の購買行動に革命を起こす。岡部CEOのビジョンと現代にマッチした年齢性別関係なく採用する企業の在り方

現在、日本の金融市場で話題を集めている前払式支払手段型日本円ステーブルコイン「JPYC」。その生みの親であるJPYC株式...

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コロナが転機になってブロックチェーンでコインを開発

―― 日本暗号資産市場の時期からJPYCへに流れはどういう感じだったんですか?

岡部:せっかく会社を作ったのは良いんですけど、コロナで古物市場が開けなくなったんです。中古品は物が仕入れられないと売るものがない。市場が閉まると自動的に古物商も営業停止業種に指定されましたし、商売があがったりということになったので、その間にデジタル化を進めようということで、うちの会社のブロックチェーンに詳しい人間が、DeFiと言われる分散型金融が盛り上がっていると話していたので、今だったら前払い(プリペイド)型のステーブルコインが受け入れられるかもしれないと思ったんです。

まず古物商が使えるデジタルコインを実証実験的にやってみようということで、JPYCの前身のICHIBAというコインを作りまして、それをうちの市場でも使えるようにしてみました。それがプロ向けにも関わらず意外と使っていただけて「これはいける!」と思ったんです。金融庁さんとお話ししたら一般向けにも出せそうだったのでそれで今年の1月にJPYCを出したところ晴れて大反響いただきまして今に至るという感じです。

ーー 2021年1月ってことは今から9カ月ぐらい前ですよね。暗号通貨の世界はそんなに短期間とは思えないほどの速さと濃さですよね。

岡部:毎週毎週、新しいニュースが出てどんどん新しい広がりを見せてますね。

ーー 僕も今年になって本格的にNFT、ブロックチェーンを勉強し始めたんですけど、毎日毎日状況が変わるので全然追いつきませんね(苦笑)。JPYCは世界的に言うと似たようなステーブルコインがあるんですか?

岡部:いえ、まったく日本独自だと思います。よく外国の分類で日本のJPYCは何になるんですか?と聞かれるんですけど、私ですら一言では説明しづらい。多分複数の組み合わせ型なんです。法定通貨担保型と言われて、法定通貨で100%あるから価格が安定しますよ、というステーブルコインもあるんですけど、うちは資金決済方に基づき一部の法定通貨しか担保していないですし、物に換えられるコモディティ型というものなのかな。と言えばそういう側面もあるけどそれだけではないし。最近だと外部の方が価格を安定させるためのプログラムとかを作り始めて、アルゴリズム的な要素も少し入ってきているし。組み合わせなんだと思うんです。法律的にも暗号資産ではなくてプリペイド(前払式支払手段)という違いもあるので。

―― FINDERSでも、仮想通貨、NFT、ブロックチェーンなどの記事を今年出しているんですけど、ことごとくPVが悪いんです(苦笑)。やっぱり一般の読者層にはまだちょっと遠いのかなと印象があるんですけど、ClubhouseとかTwitterなどのSNSをやっていると詳しい人がたくさんいて、ものすごい勢いでクリプト民の人口が増えています。そういう状況は今年に入ってからどう見られていますか?

岡部:そこはほぼ必然かなと思っていまして、コロナの影響で法定通貨、円でもドルでも刷り続けているので、相対的に、かと言って金の現物とか重いし、売る時に手数料も結構かかっちゃうんで、暗号資産は一定の需要は絶対あるし、伸びるんだろうな、とは思っているんです。あともう一つはDeFiと言われる分散型金融の領域が急激に去年から今年にかけて伸びたので、明らかに今まで中抜きされていて金融機関の方の給料になっていた部分を個人の皆さんが貰えるようになってきています。これは上級者向けですし、すごく難しいんだけど、リテラシーの高い人はどんどんそっちの方に流れてきているなと。当分金利差が埋まるまでは法定通貨の世界から一部が暗号資産とか、DeFiの世界に流れてくる、大きな傾向は止まりそうにないなというのは思います。

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