CULTURE | 2020/09/29

竹内結子さん急逝で「ある俳優」に理不尽な批判が殺到。相次ぐ芸能人への誹謗中傷は、本当に有名税か?【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(16)

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中川淳一郎
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中川淳一郎

ウェブ編集者、PRプランナー

1997年に博報堂に入社し、CC局(コーポレートコミュニケーション局=現PR戦略局)に配属され企業のPR業務を担当。2001年に退社した後、無職、フリーライターや『TV Bros.』のフリー編集者、企業のPR業務下請け業などを経てウェブ編集者に。『NEWSポストセブン』などをはじめ、さまざまなネットニュースサイトの編集に携わる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『ネットのバカ』(新潮新書)など。

竹内結子さんの元夫・中村獅童がサンドバッグ状態に

女優・竹内結子さんの自殺を受け、歌舞伎俳優・中村獅童のインスタグラムに非難が殺到。元々2人は夫婦だったが、2008年、中村の不倫も原因とされて離婚した。だからこそ「彼女に一生謝罪する気持ちで生きろ」などと書かれたのだ。

竹内さんが亡くなった段階の最新の投稿では生後3カ月の息子の満面の笑顔写真だが、ここにこうしたコメントが多数書き込まれたのだ。よく赤ちゃんの顔写真の脇にこんなことを書けるものだ。死の翌日となる28日にはさすがに「今は外野が余計な心配や文句を言う時ではありません」や「何でこんなに好き勝手に憶測で物を言う人がいるんだろ」と、無駄な正義感から書き込まれた無意味な批判コメントを諌める書き込みも多数登場した。

同様の件では、今年7月、俳優・三浦春馬さんが亡くなった後も、過去に熱愛報道がされた後に女優・三吉彩花のインスタグラムのコメント欄も批判が多数書き込まれた。三吉は真っ黒画面の「ストーリー」に「毎日しっかりと過ごしています。ただ、もう少し時間をください。何も整理できていなくて。ごめんなさい」と意味深なことを書いていた。

いずれの例にしても、「お前が彼女(彼)を粗末に扱ったから、傷つけたから自殺したんだ」といった決めつけを基に書き込んでいる。一体あなたは亡くなった当人の気持ちをなぜ知っているのか? 竹内さんの場合は勝手に「産後うつ」であることを指摘する人も出ているが、そんなこと分かるわけもない。

三浦さんの件では、舞台『罪と罰』で共演したメンバーが追悼の会を開催。その際に公開した写真で皆が笑顔だったこと、共演者の勝村政信が色紙に「でかちんくんへ 愛してるよ 永遠に」とメッセージを書いたことから炎上した。彼らの笑顔とこのメッセージが「いじめ」であると指摘されたのだ。

後に勝村が説明したところによると、三浦さんは勝村を「カッチン」と呼び、自身は彼のことを「デカチン」と呼んでいたのだという。だが、勝村はこうしたメッセージを発することがどんな影響を及ぼすかきちんとした意識を持っていなかったとし、謝罪した。

自殺した友人を追悼する会に参加したことはあるが、誰かが「皆で笑顔でアイツを送ってやろうよ」と笑顔で写真を撮影することは自然なこと。それなのに三浦さんの場合は「死んだことを嘲笑い喜んでいる」と解釈されたのだ。

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