トマムの極寒が可能にする 「継ぎ目のない一枚氷」 の神秘と18年の技術
北海道・占冠村に位置する星野リゾート トマムに、冬の最も冷え込む時期だけ現れる 「氷のホテル」 が2026年1月20日から2月20日までオープンする。客室はもちろん、ベッドや家具、さらには露天風呂に至るまで、すべてが氷で造られた期間限定の宿泊施設である。
このホテルの最大の特徴は、ドーム全体が 「継ぎ目のない一枚氷」 で構成されている点にある。氷のブロックを積み上げる従来の雪氷建築とは異なり、マイナス10度以下の日が安定して続くという厳しい自然条件を前提に、数日間かけて水と雪を凍結させながら形成される。夜間には気温がマイナス30度に達することもあるトマムの気候が、透明度の高いきめ細かな氷を生み出し、独特のアイスブルーの輝きをまとった空間を完成させる。
完成したドームは直径約8.5メートル、高さ約3.5メートル。内部は外気とは異なり、平均してマイナス5度から7度前後に保たれるという。氷点下30度まで対応可能なシュラフと専用ルームウェアが用意されており、氷のベッドの上でも朝まで快適に過ごせる設計だ。氷で造られたミニバーでは、ドリンクやおつまみを楽しむこともでき、静寂に包まれた幻想的な時間が流れる。
敷地内には白樺林に囲まれた 「氷の露天風呂」 も併設されている。占冠村の 「湯の沢温泉」 から引いたナトリウム塩化物冷鉱泉に身を委ねながら、氷に反射する光や、天候が良ければ満天の星空を眺める体験は、この地ならではのものだ。
「氷のホテル」 は、冬の夜にだけ出現する 「アイスヴィレッジ」 の一角に設けられる。1998年から続くこの氷の街は、氷のBarやレストランなどが並ぶトマムの冬の風物詩であり、寒さそのものを楽しむ体験を提案し続けてきた。その中でも宿泊体験ができる 「氷のホテル」 は1日1組限定という特別な存在であり、今冬で18年目を迎える。
自然条件と人の技術が重なって初めて成立する、極めて儚く贅沢な宿泊体験。厳寒のトマムだからこそ実現する一夜は、記憶に深く刻まれる時間となりそうだ。
氷のホテル
開催期間:2026年1月20日~2月20日 (予定)
場所:星野リゾート トマム アイスヴィレッジ内
料金:1泊1名28,000円 (税・サービス料込み)
対象:トマム ザ・タワー、リゾナーレトマム宿泊者 (7歳以上)
定員:1日1組限定 (最大2名)
公式サイト
https://www.snowtomamu.jp