CULTURE | 2020/09/29

竹内結子さん急逝で「ある俳優」に理不尽な批判が殺到。相次ぐ芸能人への誹謗中傷は、本当に有名税か?【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(16)

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中川淳一郎
ウェブ編集者、PRプランナー
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大坂なおみ、紗栄子らに向けられる罵詈雑言の嵐

思えば多くの芸能人がどうでもいいことで叩かれ続けてきた。たとえば、紗栄子が初期の頃叩かれた理由は、ダルビッシュ有と結婚したからである。日本最高の投手かつ、イケメンが結婚する相手としては「格下」扱いされ、「玉の輿」に乗ったことが許せなかったのだろう。まぁ、紗栄子の実家は金持ちだし、今、彼女は実業家として成功している。ダルビッシュの相手が竹内結子や新垣結衣であれば恐らくは叩かれなかったはずだ。妙な嫉妬の感情で、ブログをつぶさに見ては2ちゃんねるに悪口を書き込み続けた。2人が結婚式をハワイで挙げた時は、子どもを置いて行った、ということにされていた。これが虐待扱いされたわけだが、根拠はブログに子どもの写真が写っていないことと、テレビのワイドショーが2人だけの映像を流したことである。

その後も紗栄子は前澤友作氏と交際をして叩かれたし、第二子はダルビッシュの息子ではなく、ベビーシッター男性の息子だという憶測も登場。理由は顔がダルビッシュに似ておらず、シッターに似ているからだというもの。おいおい、あんまりそんな根拠のないことを書き込み続けているといつ訴えられるか分からないから注意してね。

あとは恋愛バラエティ番組『あいのり』(フジテレビ系)に出演していたブロガーの桃さんも叩かれる。彼女の場合、「自分の生活をこれでもか! とばかりに出し続けている」ということに加え、生活のすべてを見せつけそれを切り売りしている点が叩きの対象となっている。それで儲けているのが気に食わないのだろうが、だったらお前もやればいいじゃないか。彼女はさまざまなリスクを取って自分の生活を公開しているのだから、文句を言う筋合いはない。また、彼女の場合は「芸能人じゃないのに有名になり、さらに芸能人の知り合いもいる」という「私だって同じようなことができたのに……」的な捉えられ方をされていることも叩かれやすい背景にあるだろう。夫とのツーショット写真をブログに公開すると、「彼は嫌がっているのに無理やり撮影させられた」と、これまた名探偵ぶりを発揮されてしまう。

それにしても、熊本地震の時に笑顔の写真をインスタグラムに公開したら叩かれた長澤まさみは気の毒だった。さらに気の毒だったのが、熊本在住の井上晴美だ。彼女は現地の様子をブログに書き続けていた。多くの人が見るだけに、被害の様子を知り、募金や救援物資の寄付などに役に立つ情報を彼女は出していた。しかし、彼女に寄せられた批判は「お前だけが被災したわけじゃない。被害者ぶるんじゃない!」式のものだった。これにはさすがに井上も「辛い」とブログをやめてしまった。

それにしても「有名人なんだから悪口ぐらい甘んじろ」という意識が蔓延しているのはおかしい。最近ではテニスの大坂なおみに対する罵詈雑言が酷い。曰く「スポーツに政治を持ち込むな」「日本人ならラケットを投げるな」「ダメンズと付き合っているように見える」などだ。あと、「政治ではなくスポーツに専念しろ」はもう無茶苦茶だ。あのさ、全米オープン優勝ってのは十分スポーツに専念したからでしょうよ。それにいちいち他人の生き方に文句つける人生、虚しいってだけに早く気づかないと貴殿の人生もっと惨めなものになりますよ。


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