BUSINESS | 2025/12/08

発想の転換で木材廃棄ゼロへ
展示会の未来を変える 「再生板紙構法」 を
スーパーペンギンがエコプロ2025で紹介

2025年12月10日(水)〜12日(金) @東京ビッグサイト 東ホール

FINDERS編集部

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展示会ブースの常識を覆すスーパーペンギンの取り組み

展示会ブース専門の空間デザイン会社であるスーパーペンギン株式会社は、12月10日(水)~12日(金)までの間、東京ビッグサイトにて開催される 「エコプロ2025」 に出展する。
スーパーペンギンの手掛ける展示会ブースでは、大量の木材が使用された後、廃棄されており、東京ビッグサイト、幕張メッセ、インテックス大阪という主要展示会場の3会場だけで、年間2万トン規模に達するという推計もある。会期数日で役目を終える木工ブースの構造は、長らく業界全体の大きな課題となっている。

展示会会期が終了するや否や、そのほとんどがそのまま廃棄されてしまう木材

こうした状況を変えるため、スーパーペンギンでは昨年比引き続き自ら出展する 「エコプロ2025」 において、木工と同等のデザイン自由度を保ちながらも木材廃棄量を大幅に削減する展示会ブース施工における 「再生板紙構法」 を紹介する。今回は実物ブースを使った解説に加え、導入を検討する企業向けにプレゼンスペースを設けるなど、より一歩踏み込んだ内容となっている。

再生板紙は使用後に溶かして再利用することが可能
木工パネルと同様に経師紙を貼ることもできる

スーパーペンギンが着目したのは、構法そのものを刷新するのではなく、材料だけを 「置き換える」 という発想である。木工ブースが持つ寸法自由性や施工性をそのまま保ちながら、構造材を再生板紙に変更することで、撤収後は紙として再利用できる。経師紙貼りやビス留めも行えるため、職人の業務内容はほとんど変わらない。この 「現場が大きく変わらない」 点が、普及の鍵になると同社の代表で展示会デザイナーの竹村尚久氏は考える。

現状では、防炎処理の工程等が必要となるため、従来の木工材料に比べてコストが約1.5倍に上昇する。しかしながら業界内での需要が広がればコストの改善が見込めるため、まずは導入事例を増やすことが重要だと竹村氏は語る。今回の出展では、素材を製造する日本化工機材、施工を担当するアドスペースの担当者も常駐し、それぞれの立場から導入時にあたってのメリットや注意点なども説明するという。実際に施工した設営会社からは 「20分の説明で多くの会社が作れるようになる」 という声も寄せられている。

「エコプロ2025」 に出展するスーパーペンギンブースの事前検討模型。
右側がプレゼンスペース。それぞれの展示台には、素材の製造を行う日本化工機材と実際にブースを設営をしている設営会社アドスペースの担当者も常駐し、来場者への説明や質問に応える

さらに最終日の12月12日(金)15:50からは、代表の竹村尚久氏がエコプロステージに登壇し、再生板紙構法の意義や現状の課題を語る予定だ。展示会ブースがサステナブルな社会の実現にどう貢献するべきか。業界の設営会社や代理店に向けて、これからの展示空間のあり方を具体的な事例とともに提示する。

12月12日(金) 15;50より会場内特設ステージで概要を解説する予定だ

竹村氏は長年にわたり、多くの展示会場で撤収現場を目の当たりにしてきた。積み上がる木材の山に疑問を抱き続け、「ただ見ているだけでよいのか」 と自問していたという。そんな折に出会ったのが、再生板紙を製造する日本化工機材だった。「材料を置き換えるだけで状況が変わるのでは」 という直感が、構法開発へとつながった。小さな企業だけでは限界があると考え、同業他社との連携も積極的に進めてきた。賛同する企業は少しずつ増えつつあり、業界全体の変化を促す基盤が徐々に整いつつある。

展示会ブースは、多くの企業にとって重要なコミュニケーションの場であり、同時に毎年膨大な廃棄物が生まれる場所でもある。その矛盾をどう乗り越えていくのか。スーパーペンギンが提示する 「材料を置き換える」 という現実的な一歩は、業界全体の示唆となるだろう。

今回の出展で、同社が目指すのは一社でも多くの設営会社と対話し、再生板紙構法を 「自社でもできる」 と感じてもらうことだ。実物を前にした議論から、展示会業界の次のスタンダードが形づくられていくのかもしれない。関係者の方々にはぜひ会場に赴き、スーパーペンギンブースを訪れてほしい。

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SUPER PENGUIN株式会社
https://www.superpenguin.jp/

エコプロ2025
https://messe.nikkei.co.jp/ep/