BUSINESS | 2025/11/12

宇宙を“日常の交通圏”に
将来宇宙輸送システムが描く次世代型宇宙港の未来像

アジア最大級の宇宙ビジネスイベントで 「次世代型宇宙港」 ワーキンググループの報告会を開催

FINDERS編集部

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宇宙を“毎日の物流圏”に。将来宇宙輸送システムが示す未来の港構想

「毎日、人や貨物が届けられる世界を、宇宙でも」というビジョンのもと、2040年代には人と物資が高頻度で往還する宇宙輸送システムの実現を目指し、完全再使用型の単段式宇宙往還機(SSTO) を開発しているスタートアップの将来宇宙輸送システム株式会社(ISC) は、
アジア最大級の宇宙ビジネスイベント 「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」 にて、「次世代型宇宙港(NSP:New Space Port)」 ワーキンググループ (以下NSP-WG) の報告会を開催した。2024年8月に発足したこのWGには18社と1大学が参画し、1年余りにわたり22回の議論を重ねてきた。

報告会では、宇宙港の実現性評価やビジネスモデルの検討結果を共有するとともに、2040年代の完成を想定した模型を披露した。模型は2,300分の1スケール、1,100mm×1,000mmの大きさで、陸上・洋上双方に広がる次世代インフラの姿を具現化している。

模型は2040年代の完成を想定した、2,300分の1スケールで、1,100mmx1,000mmにて作成

NSP-WGでは、宇宙港を単なる打上げ・着陸のためのインフラにとどめず、人々が訪れ、学び、体験できる多機能複合拠点としての可能性を検討してきた。報告書で示された主要構成要素は次の3点である。 陸上ではロケット整備・燃料運用施設や乗客ターミナルを備えた拠点を整備。洋上では打上げ専用の発射拠点と、搭乗者が滞在できるセキュリティ対応の宿泊船を配置する。さらに、観光・教育・研究・商業といった多用途利用を視野に、地域振興にも寄与する拠点像を提示した。

模型には、ロケット発射船や滞在拠点、そしてエネルギー供給施設までを含めた「宇宙輸送インフラの都市モデル」が再現されている。単なる宇宙施設の域を超え、社会・経済圏の一部としての宇宙港像を示した点が特徴だ。

ISCは今後、今回の成果を踏まえ、設計解像度を高めた第2期ワーキンググループを新たに立ち上げる計画だ。陸上・洋上施設の具体設計や実証プロジェクトの準備、さらには収益循環を促す新しいビジネスモデルの構築にも踏み込む。

報告会には、一般社団法人スペースポートジャパン代表理事で元JAXA宇宙飛行士の山崎直子氏もコメントを寄せ、「宇宙港はロケット発射の場にとどまらず、地域創生や国際連携の拠点としても大きな可能性を持つ。未来の宇宙港が具体的に形づくられていくことを期待している」と語った。

将来宇宙輸送システムが描くのは、宇宙が特別な場所ではなく、日常の延長線上に存在する社会である。ロケットの再使用、発射インフラの多拠点化、そして民間事業者の連携によって、宇宙輸送を持続的な経済圏として成立させる挑戦が始まっている。

“毎日、宇宙へ”。それは、今世紀の交通革命の新たな扉を開く合言葉になりつつある。


将来宇宙輸送システム株式会社
https://innovative-space-carrier.co.jp

宇宙旅行 先行申込アンケート
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