CULTURE | 2021/12/15

「一般人は政府の思うようには動かない」。英・ガリア教授、オードリー・タン氏らが『防災ITイベント』で語る、コミュニケーションと教育の効用

文:赤井大祐(FIDNERS編集部)
フォーラムエイト、という会社をご存知だろうか?
1987年の創業以来、主に構造...

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • line

市民の「ため」ではなく市民と「共に」

教育の重要性の話を受け、家入氏はタン氏に対して、「普段から子供たちと意見を交わす機会が多いとのことですが、その中で子供から学ぶことはありますか?」と質問を投げかける。

「18歳以下の投票権を持たない若い人たちは、環境問題などさまざまなことに対して、強い情熱を持ち、非常に深刻に受け止めています」と話しはじめるタン氏。

台湾では、市民からの意見を取りまとめ、市民のイニシアチブを高めるための「ナショナルプラットフォーム」があり、さまざまな署名や意見を集めているとのことだが、そのおよそ4分の1が18歳以下の若者から寄せられるものだという。

「(社会問題解決に向けて)18歳以下の若者からのアイデアが多くを占めます。彼らは国際的な繋がりも活発ですし、ビジネスセクターが推し進めるべきことを提案してくれ、大人たちよりも積極的に動いてくれています。多くの時間があるということもありますが、なにより長期的な視点を持っているからでしょう」と、台湾の若者たちが、すでに国に対して重要な働きをしていることを話す。

また、続けて家入氏を通じ、土木業界で働くという参加者が「業界内でDXの推進が起きているが、大きな変革を起こすにあたって大切なことはなんですか?」と、デジタルを駆使し多くの改革に取り組むタン氏に尋ねる。すると、「先ほども話した通り、市民を信じるということです」「市民のため、ではなく市民と共に、ということが大事なんです。市民からのインプットは欠かせません」と答え、タン氏は日本でも話題となった「マスクの実名販売システム」において、オンラインではなく現金で購入したいという高齢者の要望に答え、健康保険証を利用して購入できるシステムを構築したことを話した。

次ページ:「コミュニケーション」と「教育」が災害を乗り越える鍵に