LIFE STYLE | 2020/09/15

困ったビジネスパーソンに広がる「事例教えて症候群」 日本人の「考える力」がなぜ衰えているのか【連載】オランダ発スロージャーナリズム(28)

皆さんの中にも、ステイホームでお仕事をされている方もいると思います。こちらオランダでも、いまだに自宅での仕事が推奨されて...

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子どもの考える力をつけるサービス「Serrendip」を始めます

このような「考える力」が衰えているのではないか?という仮説から作ったサービスが、子どもが自分で考える力を養う「全く新しいオンラインスポーツ&アートスクールSerrendip」です。

前々回の、この連載(日本人の「正解が欲しい病」を克服する「教えない」という教育方法)でも、軽くご紹介させてもらったものです。

このサービスが、いよいよ本格稼働することになりました。

これは、子どもが自分で目標と練習方法を考えて、実際に練習する様子を動画でコーチに送ってもらうと、コーチがそれを観ながら、「考えさせる」アドバイスを返信するという、1対1のオンライン講座です。

子ども自身の裁量に任せる部分が多く、そういう意味では日本的に言うと、少し不親切なわかりにくいプログラムです。これを「教えない」オランダ式教育方法と称しています。そうなのです。オランダでは手取り足取り、子どもに教えるということはまずありません。みんな、好き勝手にやるところから始めて、徐々に子ども自らの興味と考え方に寄り添ってサポートしていくのです。

筆者は保育士でもあるので、その立場から考えると申し訳ないのですが、これを読んでいてくれているだろう大人の皆さんには、今さら「考える力を身につけましょう」と言っても伝わらないかなという気持ちがあります。

ただ子どもは違っていて、実際に今、モニターテストをしているケースでは、驚くほどの成長を見せてくれています。初めは、お母さんやお父さんに言われるままにやっていた子が、コーチに自分の意見を伝えたい、質問したいという強い気持ちから、「もう、お母さんは何も言わないで!」と言って、自分の言葉でコメントを送ってくるようになったりしています。

また、別の子は、ちょっとした気持ちの持ちようをアドバイスされただけで、にわかに自分に自信をつけて、普段の生活態度まで明らかに変わってしまった子もいます。いずれも、自分で考えることができた結果だと思うのです。この子たちは、こうした体験を繰り返していくうちに、おそらく世界で活躍できる考え方を身につけると思っています。

こうした例をみると、Serrendipで行っていることは、子どもが元々持っているポテンシャルをちょっとしたコーチのアドバイスで引き出しているにすぎません。逆に言うと、日本の教育環境は、子ども自ら考える力を奪ってしまっているのではないでしょうか。過激なまでの過保護だったり、逆に過激なまでの管理だったり。いずれも、子どものことを考えて良かれと思ってやっていることだとは思うのですが、これは結果的には子ども自らの考える機会、成長する機会を奪っているのではないでしょうか。

日本の子育て周りのサービスは、大人が能力を発揮して先回りして、時に過保護に管理することで、子どもの成長機会を作っているかのようにも見えますが、これは全くの逆なのです。大人が能力を発揮すればするほど、子どもの能力を発揮する機会を奪っているだけなのです。

「親がダメなので、うちの子はしっかりしています」なんていう話、よく聞きませんか?そう。子どもを成長させようと思ったら、ちょっとくらいダメな親でいいのです。過保護にする必要はないのです。放っておいたほうが、子どもは自由に強く育つのです。

そんなわけで、世界一子どもが幸せな国と言われる「教えない」オランダ式のオンラインスポーツ&アートスクールで、ぜひ「考える力」を身につけてください。

あ、サイトを見ていただければおわかりのように、コーチ陣は現役Jリーガーの都倉賢さん、元・福岡ソフトバンクホークスの吉村裕基さんなど、他ではあり得ない超一流の布陣です。


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