CULTURE | 2020/09/11

バンドマンはなぜ投資家になったのか。生活を守り、未来を作る実は知らない「投資」の話

「投資」という言葉にどんなイメージを持つだろうか?
なにやら怪しげな儲け話や、(例えば前澤友作氏のように)莫大な資産を...

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”パンクス”は投資や選挙にコミットしていく

―― ヤマザキさんは投資家である一方、10代の頃からパンクバンドでの活動を続けているとのことですが、「パンク」というと一般的にお金とは無縁のようなイメージがあります。

ヤマザキ:パンクと言っても色々な側面があると思います。自分が好きなパンクス(=パンクカルチャーを体現する人のこと)は、政治にもちゃんと向き合って選挙に行ったり、あえて行かなかったり、働く場所やお金の使い方、お金を落とす場所のことをすごく意識的に考え、選んで生活しているんです。

―― 「選挙」や「お金」といった言葉はパンクとは相容れないイメージをもっていましたが、むしろ逆の場合もあるんですね。

ヤマザキ:色々います。「スクウォット」といって、廃墟になった建物を占拠して住めるように改装したり、設備を整えて自分たちの遊び場にしたりするカルチャーが世界中にあるんですが、自分が二十歳ぐらいの時にドイツやフランスにライブをしに行った時の会場もスクウォットされた廃墟で。

―― パンクバンドがライブをしたり、レイブ会場になっているという話はよく耳にしますね。

1999年にロンドンで行われたスクウォット・パーティーの様子

ヤマザキ:ライブ会場では飲み物が売っていたんですが、そこにはコカコーラやペプシは置いてなくて、地元産のクラフトコーラが売られていたんです。彼らは活動によって生まれるエネルギーの使い方やお金の流れる先をかなり意識的に選んでいて、それは自分が思う「投資」の価値観と合致しているように思います。

自分たちの活動によって生まれるエネルギーや、人の意識、金銭がどこに流れていくのか意識して、自分たちの手で未来を選び取っていく。これはパンクでもあるし、投資でもあると思っています。

―― パンクも投資も根底に流れる考え方は同じだったわけですね。今のお話を踏まえると、投資は単なる資産のやりとりではなく、自分たちで何かを選び取っていく、という特性を強くもっているように感じます。

ヤマザキ:そうですね。使い方にもよりますが。そういう意味では投資ってそんな特別なことではなくて、実はみんな普段からしているものなんじゃないかなって思うんですよね。

―― というと?

ヤマザキ:そもそも生活をしながらいろんなところでお金や時間を使って生きているわけですが、例えばさっきも言ったように銀行にお金を預けるというのも、一種の投資ですよね。

本の装画・イラストは漫画家・ゲームクリエイターの香山哲さんが担当。

他にも、チェーンのお店じゃなくて友達の店でご飯を食べるとか、お気に入りのカフェに行く、応援したくなるような取り組みをしている企業の商品や株を買ってみる。どれも未来を見据えてお金を扱うことだから、投資と言えるはずです。

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