反面教師ゆえに、モデルケースは無かった
――広告に頼ることなく、 リスナーとwin-winの関係を築く。今多くのウェブメディアがペイウォールの導入に向かっていますが、「バイリンガルニュース」はいち早く気づいていた、ということかもしれませんね。
マミ:インスタとかTwitterみたいなソ―シャルメディアはもちろん、ウェブマガジンとかニュースサイトも含めて、裏にどういうしがらみがあってこうなっているのかなって勘ぐっちゃうじゃないですか。「これを言う/言わない理由ってなんだろう」って。だから基本的にネット上で情報に触れる時はみんな懐疑的にならなきゃいけなくて、「それがリテラシーです」って世の中ですよね。
そういう中で、せめて自分たちの番組だけは安心して聴いてもらえるようにしたいんです。「この人たち、お金貰っているんじゃないか」「言わされているんじゃないか」ってことを一切考えなくていいような、安心できる空気感を提供したくて。今の時代、そういう方が貴重だと思うし、ここは崩れないようにしていきたいんですよね。
――もともと、マミさんとマイケルさんがアメリカのPodcast番組『The Joe Rogan Experience』のファンだったことが番組を始めたきっかけになっていたとお話されていましたね。そういう番組が広告に否定的でそれをモデルケースにしたとかですか?
マミ:いや完全に逆で、例えばJoe RoganのPodcastもたくさん広告入ってるんですよ。最初は1個しか入ってなかったのに、人気が出るにつれてどんどん増やしていったんです。私はもちろんスキップするわけですけど、いちいち面倒くさいじゃないですか。なので「自分たちのリスナーに煩わしい思いさせたくない」っていう思いはずっとあります。そもそも私もマイケルもお互いに「広告が嫌い」っていう共通認識があったので、ここも最初からからずっとぶれていません。
あとは私は本業がコンサルタントでマーケティングの経験もあるので、裏を知っているからこそ「自分が何かやる時にはそれと反対の方にいきたい」っていうこともありました。マーケ臭がすることはあんまりやりたくないっていうのも、全部含めて反面教師なんですよね。なので始めた時から今までずっとそうですけど、お手本になる存在がほとんどいないんで、しばらくは迷子状態でした。自分たちで一から考えないといけないので、すごく難しかったです。
――モデルケースがなかったことで紆余曲折を経て今の形に落ち着いた、ということではなく、当初から一貫していたんですね。Podcastはパーソナリティーの趣味や個性が出やすいメディアだと感じています。だからこそお二人の姿勢ともうまくマッチしたのかもしれませんね。
マミ:Podcastの文化って、結構独特だと思うんですよね。今まで私が見てきたPodcastやっている人って、基本的に介入されることをすごく嫌う気がするんですよ。「縛られたくない、自分の発言を制限されたくない」みたいな。例えばYouTubeをやるにしても、プラットフォームの中にいる限り結局はGoogleの裁量やアルゴリズム次第みたいなところがあるじゃないですか。Podcastってそういうことがないので、実は今どきなかなか珍しいメディアなんじゃないかなって。なので、私たちはこれからも自由なメディアとしてやっていけたらいいなって思っています。