EVENT | 2021/05/11

人気Podcast「バイリンガルニュース」が広告を入れない理由。楽しむことと頑固な姿勢の大切さ

オリジナルアイテムを着るマミ
かつてない盛り上がりを見せる音声コンテンツ市場。日本ではなかなか定着しなかったPodca...

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収益も視聴者数もまったく見ていない

――運営面、特に収益の部分について具体的にどういった運用をされているのか教えてください。

マミ:うちはサブスクリプションがメインです。配信は全部無料で、文字起こしと宿題とエッセイをアプリ内で配信して、それに課金してもらう形です。ただどれぐらいの人数が聴いてくれているかとか、どれだけサブスクの登録があったか、みたいな数字をまったく見ていないので、内訳は正直把握してないです。たまに気になって「今、何人ぐらい使っているの?」ってマイケルに聞くんですけど「ちょっと分かんない。後で見とくわ」みたいな感じで、お互いに気にしてないんですよね。

――8年間も番組を続けてこれたのは、収益化の部分をしっかりと組み立てていたからなのではないかと思っていたのですが、完全に真逆でした。

マミ:最初の頃はサーバーの維持費がかさんで、本当に赤字垂れ流しみたいな時期もありましたが、今はありがたいことにそういう状況からは抜け出せています。ただ儲けてやろうみたいな意識は正直ないです。儲けたいんだったら広告を入れるのが一番手っ取り早いですしね。

――「バイリンガルニュース」では広告を一切入れていないとのことですね。

マミ:そうですね。だからいかに数字を稼ぐか、という視点がないんですよ。多くの人に聴いてほしいという思いはもちろんあるけど、「広告費を稼ぐためにあと何人増やすか」みたいな、そういう数字を見る必要がないので。コンテンツに影響しないっていうのがすごく大きいと思ってます。

――ウェブにおいてもコンテンツの「制作」と「流通」は別で考えるべき、という議論もありますが、まさにそれを実戦されていらっしゃったわけですね。

マミ:やっぱり、リスナーの趣向に寄せていこうと思うと、おかしくなると思うんですよ。どういうものだったらエンゲージメントが増えるんだろうって考えていくと、やっぱり「マーケ(ティング)臭」がしてくる。そういうのってリスナーは絶対気付きますよね。それに自分たちも楽しくなくなっちゃうと思うし、本当に、数字を見ないでここまで来たという感じです。

――「見ないからこそ続けてこられた」みたいなところも、あるかもですね。

マミ:そうですね。そういうビジネス的なストレスから解放された状態でやれているのは大きいと思います。

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