文:滝水瞳
授乳中の乳房をテレビ放送した初のケース
アメリカのテレビ局「NBC」は2月28日、映画・テレビドラマを対象とした栄誉ある賞、ゴールデングローブ賞授賞式の番組内において、育児用品ブランド「フリーダ・マム」のCMを放送した。授乳期に使うセルフケアキットなどの商品を紹介する75秒間の映像で、新米ママ2人による授乳の現実を赤裸々に伝えている。
ある母親はソファーに座り、泣き叫ぶ乳児に授乳させようと賢明にトライ。一方、もう1人の母親は授乳の痛みに耐えきれず、顔をゆがめている。母乳育児を止めたら「悪い母親」になってしまうのではないかと悩みながら、昼夜問わず子育てに励み、電動歯ブラシで乳管の詰まりを取ったり、症状を緩和するために乳房にキャベツの葉を使ったりする様子が、包み隠さず描かれている。
フリーダ・マムは「母乳育児を始めるにしても止めるにしても、授乳は新米ママにとって感情的にも体力的にも起伏のある旅です」「今こそ、赤ちゃんだけでなく、あなたの胸もケアする時です」とコメントしている。
『NewYorkPost』によると、このCMは授乳中の乳房をテレビ放送した史上初のケースだという。
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過去には放送見送りも
先月このCMはYouTubeで公開されるやいなや大きな話題を呼び、2週間で約200万回の再生数を記録。「正確な描写をありがとう」「これまでにどれくらい母乳育児や搾乳についての広告を見たことがあるでしょうか?」「キャベツ、電動歯ブラシ、私の妻はすべて経験しました」など、多くの共感の声が寄せられている。
『INSIDER』によると昨年、フリーダ・マムのCMが「刺激的過ぎる」という理由で、アカデミー賞授賞式の番組において放送が見送られたことが、別の放送局であったという。今回放送したNBCの広告営業担当は、女性の真の姿に力を与え、世界中の人々と共有することに情熱を注いでいるとした上で、「この画期的な新しいフリーダ・マムの創造性をもって、母性の喜びと挑戦にスポットライトを当てることを誇りに思います」と声明を発表している。
今、新型コロナウイルスの感染防止のため、自宅から出ず、悩みを打ち明ける機会のないまま育児を続ける母親が増えている。このCMで心が救われ、少しでも健やかに過ごせることを願っている。