懐かしさと新しさが混ざり合う、映画村で過ごす瀬戸内の夏
今年の夏休み、アートと昭和ノスタルジーを味わうなら、香川県・小豆島の「二十四の瞳映画村」が旅先としてふさわしい。1954年の映画『二十四の瞳』(監督:木下惠介、主演:高峰秀子)で一躍知られるようになったこの物語の舞台は、映画撮影のオープンセットを活用した観光施設として再構成され、今も訪れる人々を惹きつけている。




映画村では、7月下旬から咲き誇る約15,000本の向日葵が夏の風物詩として彩りを添える。風に揺れる風鈴や笹飾りが並ぶ七夕まつり(8月5日~7日)では、短冊に願いを込めることもできる。7日には入場者全員を対象とした抽選会も予定されており、家族連れや友人同士で訪れるにもぴったりだ。

敷地内には壺井栄文学館やミニシアター、ギャラリー、小豆島ならではの食材を使ったカフェも点在する。とりわけ注目したいのが、懐かしのアルマイト食器を使った給食セットや、小豆島のB級グルメ「醤丼(ひしおどん)」、さらには瀬戸内国際芸術祭の出展作品「ヤザイモン蛸」にちなんだ「蛸っと丼」といった、ユーモアと土地の味覚を融合させたメニューだ。

また、映画『二十四の瞳』の中で描かれた海の道を再現した 「渡し舟」 は、オリーブ公園下のオリーブビーチから映画村へと向かう短距離航路。通常なら車で30分以上かかる道のりを、潮風を受けながら10分ほどで横断できるこの舟旅は、旅情をより一層深めてくれる。

施設内では、瀬戸内国際芸術祭2025の夏会期(8月1日~)に合わせて、尾身大輔による「ヤザイモン蛸」や清水久和「愛のボラード」、入江早耶「漁師の夢」といったアート作品を常設展示。文学と映画に加え、現代アートの発信地としても進化を続けている。



もうひとつの名所「岬の分教場」は、明治35年建造の木造校舎で、映画のロケ地でもあり、教育の原点を感じさせる場として今も全国の教師や教育関係者が訪れている。
村内には猫の「映画村長」も住み、のんびりとした雰囲気に彩りを加えている。最近ではCMや写真集のロケ地としても注目を集めており、若い世代からも人気が高まっている。過去の物語を知らずとも、多くの人が訪れ、心のどこかに残る「郷愁」に触れる場所として再認識されつつある。

夏休みの計画がまだの方は、瀬戸内の離島で、アートと昭和の空気を感じる旅に出かけてみてはいかがだろうか。
二十四の瞳映画村
香川県小豆郡小豆島町田浦甲931
入村料/7月21日~11月30日:大人 1,000円、小人(小学生) 500円
TEL:0879-82-2455
https://www.24hitomi.or.jp/
岬の分教場
香川県小豆郡小豆島町田浦甲977-1 (映画村から徒歩約700m)
TEL:0879-82-5711
入場料/7月21日~11月30日:大人 450円、小人(小学生) 230円
※セット券 (映画村+岬の分教場)
7月21日~11月30日:大人 1,160円、小人(小学生) 580円
公式Instagram
https://www.instagram.com/24hitomi_movievillage
オリーブナビ
https://www.olive.or.jp/