CSAJの将来ビジョンとは?
荻原:すでにデジタルは生活の中に深く浸透しており、デジタルであることを殊更意識することなく、誰もが日常的に使っています。スポーツやエンターテインメントなど、人々に感動を与えるようなアナログな世界もありますが、それ以外の分野、特に社会活動を支えるようなインフラ分野においては、あらゆる領域においてデジタル技術が活用されていると言ってもいいでしょう。
CSAJの将来ビジョンは、クラウドを前提とした社会の中に、CSAJのメンバーが作ったアプリケーションが入り込み、それらを使った方が便利さを実感するようになることです。しかも、個々のアプリを一から作るのではなく、クラウド上のソフトウェアを用途に合わせつなぎ合わせて使っていくようになるでしょう。それが、我々が一番貢献できる分野だと思います。
ただ、私が出演しているラジオ番組のリスナーには、ご高齢の方もいらっしゃるのですが、若い人たちにくらべてデジタルをすごく難しいものと感じてしまう傾向が強い。しかし、それは体験したことのないものに対する一時的な拒否反応に過ぎず、使い方などを分かりやすく教えてあげれば、その簡単さ、便利さを必ずご理解いただけるはずです。セキュリティの勉強も少ししていただけば、騙されるようなこともなくなるでしょう。このように、デジタル化の進展に「壁」を感じてしまう方々へのアシストも、我々CSAJの大きな役割だと考えております。
水谷:デジタルは自動化など社会に大きな変革をもたらしています。AIであるとかブロックチェーンが世の中を大きく変革していく可能性を秘めているといわれています。ブロックチェーンは驚くべきことに、インターネットというデジタル空間の中に、通貨と同等の価値を創造できてしまったのですから。
デジタル化によって実現した新しいサービスを繋げていくことによって、今までにない世界を実現する。それらによりもたらされる新しい社会環境に、いち早く慣れていった方が、デジタル化の恩恵を享受できるといえるのではないでしょうか。ぜひとも皆さんにもチャレンジしていただきたい。
田中:CSAJでは、プログラミング教育もサポートしています。コンピュータやデジタルというと、難しいものと思われがちですが、実は楽しいものでもあります。例えばゲーム、ファミコンの登場を契機に、ゲームはコンピュータ上で楽しむことが主流になってきました。
また、幼いころからパソコンに慣れ親しんできた人たちが40〜50代の大人になり、ソフトウェア産業を支える大きな力になっていることも見逃せません。
そこで、コンピュータの楽しさや、コンピュータを使った仕事の楽しさを伝えていくことが必要だと考えるようになりました。その対象は、CSAJの会員企業の皆様、IT産業に携わる方々だけでなく、製品やサービスを利用する膨大な数のユーザーも含まれます。
霞ヶ関の中央省庁などでも、ITの活用が進んでいないことによって生産性が上がらず、本来優秀で志の高い人たちが能力を発揮できず、仕事にやり甲斐を感じられなくなってきているという話も耳にします。
デジタル社会の中で、働く人々がもっと楽しく、ITに携わる人たちがソフトウェアを作ることに喜びを感じる環境を整えていくことも必要で、我々CSAJの存在意義のひとつであると考えています。
CSAJ筆頭副会長 水谷学氏(ピー・シー・エー株式会社 取締役相談役)
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