CULTURE | 2020/04/30

さよならコメント欄。相次ぐ閉鎖に見る「ウェブ2.0」という理想と現実【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(11)

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中川淳一郎
ウェブ編集者、PRプランナー
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殺人予告まで飛び出し、コメント欄閉鎖へ

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しかし、ある時から私のことを誹謗中傷するブログが立ち上がるようになる。それが一体なにかといえば、「コメント大賞で表彰されて以来、アメーバニュースの編集者から私は監視されるようになった。私が考えたネタがいずれもその後、私よりも先に記事になるのである。何らかの情報が、あのコメント大賞によって筒抜けになっている」ということである。

以後、この人物は私に対する個人攻撃も始めるようになり、コメント欄では明らかにこの人がおかしいこと、まさかそんな「監視」などできるわけがない、と諌める書き込みがあったが、まったくそれを信じないばかりか、私が監視をしている証拠が増えたと喜ぶ始末だった。

さらには殺害予告なども書き込まれるようになり、嗚呼……コメント欄は悲しいかな、わずか運用1年ほどで閉鎖となった。

思えば私も甘っちょろかった。当時、甲子園のスターだった斎藤佑樹投手が「ハンカチ王子」と呼ばれて大ブレイクしていたが、秋になってもそのあだ名で呼ばれ続けることに「かわいそうだ」というコメントがあった。我々はウェブ2.0の申し子たるニュースサイトなのだから、読者のこの貴重な声に答えて企画をやるのだぁ~! とばかりに「【急募】斎藤佑樹選手のあだ名“ハンカチ王子”と呼び続けることが可哀想なので、新あだ名を募集!」という記事を出した。すると、ロクなあだ名が来ないのである。

書かれていたのは「汗かき王子」「汗だく男」「半勃ち王子」「ハンカチ玉子」「半ケツ王子」などのようなものばかりだった。こうしたあだ名が次々と書き込まれると、斎藤のファンからさすがに「こんなくだらない名前ばかり集まって斎藤君がかわいそうだ! すぐにこんな企画はやめなさい!」とお叱りが来て、結局この企画はお蔵入りとなった。