CULTURE | 2023/05/09

初運転はLAのフリーウェイ。ラジオから流れた極上のファンク〈ザップ/Doo Wa Ditty (Blow That Thing)〉

Photo by Shutterstock
※本記事はウェブメディア「JAF Mate Online」にてFINDER...

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • line

Photo by Shutterstock

※本記事はウェブメディア「JAF Mate Online」にてFINDERS編集部が編集協力を行っている連載「わたしのドライブミュージック」から転載しております

音楽好きの著名人が、月替わりで車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを紹介します。

今月お届けする4曲の選曲を担当するのは、ラジオDJなどで幅広く活躍するブロードキャスターのピーター・バラカンさんです。

聞き手・構成=柳樂光隆 / 編集=赤井大祐・神保勇揮(FINDERS編集部)

2曲目 Zapp / Doo Wa Ditty (Blow That Thing) 『ZappⅡ』

僕は日本に来てから免許を取ったんです。1975年ぐらいの話なんだけど、年1回、仕事でLA出張があって、せっかくだからLAで遊ぼうと思うんだけど、バスは危ないし、歩いてもホテルから10〜15分の範囲しか行動できなくて、本当につまらなかったんです。翌年はタクシーを使ったけど、それもつまらなくて、「このままじゃこの街を楽しめない」と思いました。だから、日本に戻って免許を取りましたよ。仕事が終わってから、夜、週2で3か月ぐらい教習所に通ってね。でもしばらく車は買わなかった。そんなお金もなかったですし(笑)。乗るのはLA出張のときだけだから、僕の最初の運転経験はLAのフリーウェイでした。

アメリカのフリーウェイは日本の高速と違って出口ランプがたくさんあるから、ちょっと行き過ぎても次の出口で降りて、ぐるっと回ればなんとなくたどり着けるんです。でも一度、オフランプ(出口)から乗ろうとしてしまって、あれは冷や汗モノでした(笑)。あとはダウンタウンかどこかを目指してたら、居場所がわからなくなって適当なランプを降りた途端に「この街はヤバい!(=危険)」と感じる街だったこともありました。目的地までの行き方もなんとなくでやっていたから、あれはかなり焦った記憶があります。

その頃は70年代後半でファンクがよかった時代。カーラジオを入れてKDAYという局に合わせるとご機嫌なブラック・ミュージックが次々にかかるから、それをずっとつけっぱなしにしていました。70年代後半、まだ新しかったザップはLAの真っ昼間のフリーウェイのBGMとして最高でした。ただ僕はそこまですっ飛ばさないけどね(笑)。

当時のドライブはGPSも何もないから、どこへ行くにも地図を見ながら恐る恐るだったんですよ(笑)。ザップはそんなヒヤヒヤするような状況のドライヴィング・ミュージックとしてピッタリでした。

1曲目「ピーター・バラカンが秘密の海岸まで友人の車で走った〈ジョージ・ベンソン/Breezin'〉」はこちら

3曲目「新しい音楽を見つけるなら車の中。ついつい聴いてしまう一曲〈ジェリー・ガルシア・バンド / And It Stoned Me〉」はこちら

4曲目「車の閉じた環境でこそ聴くべき現代のルーツ・レゲエ〈ジェブ・ロイ・ニコルズ/Monsters On The Hill〉」はこちら

ピーター・バラカン

undefined

1951年ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。現在フリーのブロードキャスターとして活動、「バラカン・ビート」(インターFM)、「ウィークエンドサンシャイン」(NHK-FM)などを担当。著書に『魂(ソウル)のゆくえ』『ぼくが愛するロック 名盤240』などがある。ウェブサイトはhttps://peterbarakan.net