CULTURE | 2023/05/03

ピーター・バラカンが秘密の海岸まで友人の車で走った〈ジョージ・ベンソン/Breezin'〉

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※本記事はウェブメディア「JAF Mate Online」にてFINDERS編集部が編集協力を行っている連載「わたしのドライブミュージック」から転載しております

音楽好きの著名人が、月替わりで車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを紹介します。

今月お届けする4曲の選曲を担当するのは、ラジオDJなどで幅広く活躍するブロードキャスターのピーター・バラカンさんです。

聞き手・構成=柳樂光隆 / 編集=赤井大祐・神保勇揮(FINDERS編集部)

1曲目 George Benson / Breezin' 『Breezin'』

僕が東京に来てすぐに知り合って親友になった福岡出身の友達がいたんですよ。彼は東京に住んでたけど、夏休みは福岡の実家に帰ることが多かった。僕も彼の家で夏休みを過ごしたことが2回ぐらいあって、彼の運転で1週間九州を回ったことがありました。

そのうちの1回は1976年の夏の話。なぜ年を覚えているかというと、そのときは3枚のアルバムをカセットに入れて、毎日彼の家から海岸まで車の中で聴いていたから。誰もいない素晴らしい砂浜まで、古い車の窓を全開にして。それがジョージ・ベンソン『Breezin'』、ボズ・スキャッグズ『Silk Degrees』、ボブ・マーリーの『Rastaman Vibration』の3枚です。

どれも暑い日にぴったりで、夏のドライヴィング・ミュージックとして、これ以上のものはないだろうって爽快な音楽でした。ジョージ・ベンソンは今の感覚からいうとちょっと軟弱な感じがするかもしれないけど、1976年の時点では「フュージョン=つまらない」ってイメージにはまだなっていませんでした。オーケストレイションが施されていて、ストリングズも入っている洗練されたインストゥルメンタルは当時の最先端だったと思いますし、演奏もかっこよくて、特にハーヴィー・メイスンのグルーヴが素晴らしい。

ボズ・スキャッグズは彼がスティーヴ・ミラー・バンドのメンバーだった頃から何となく知っていたし、『Silk Degrees』の一つ前の『Slow Dancer』がめちゃかっこよかったから『Silk Degrees』はすぐに買いました。『Rastaman Vibration』は名曲だらけ。最初から最後まで気持ちいいレコード。それらを聴きながら海岸線を走るとめちゃくちゃ気持ちよかったのを今でも覚えています。

2曲目「初運転はLAのフリーウェイ。ラジオから流れた極上のファンク〈ザップ/Doo Wa Ditty (Blow That Thing)〉」はこちら

3曲目「新しい音楽を見つけるなら車の中。ついつい聴いてしまう一曲〈ジェリー・ガルシア・バンド / And It Stoned Me〉」はこちら

4曲目「車の閉じた環境でこそ聴くべき現代のルーツ・レゲエ〈ジェブ・ロイ・ニコルズ/Monsters On The Hill〉」はこちら

ピーター・バラカン

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1951年ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。現在フリーのブロードキャスターとして活動、「バラカン・ビート」(インターFM)、「ウィークエンドサンシャイン」(NHK-FM)などを担当。著書に『魂(ソウル)のゆくえ』『ぼくが愛するロック 名盤240』などがある。ウェブサイトはhttps://peterbarakan.net