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元編集者が東京→唐津に帰郷。ゲストハウス「少女まんが館」を始めた理由【連載】コロナ禍の移住・脱東京(2)
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  • 2021.03.23
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元編集者が東京→唐津に帰郷。ゲストハウス「少女まんが館」を始めた理由【連載】コロナ禍の移住・脱東京(2)

特色ある唐津の街で細く長くゲストハウスを続けたい

ーー 改めて池田さんにとって唐津の魅力って何ですか? 自分が生まれ育ったところっていうのは大きいとは思うんですが。

池田:唐津は歴史がちゃんとあるし、焼き物やお祭りとか文化面もしっかりしているし、人も温かいし、ご飯もおいしい。こっちに帰ってきてから思うのは、私と同じぐらいの世代や、もっと下の世代が唐津のことを考えて変えようとしていること。唐津って個人商店がすごく多いんですよ。駅の周りにはチェーン店がほとんどない。多分博多もそうで、大きなお祭りがある街は、伝統の積み重ねをきちんと残していると思います。

それに唐津って若手の焼き物の作家さんが日本でもかなり多い方みたいなんです。波佐見とかはおしゃれな女性受けする形でやってらっしゃるんですけど、唐津は個性派の作家さんがすごく多くて、その人たちにちゃんと固定のファンが付いている。アート界隈も元気なんです。

ーー 排他的でもなく、ジメジメしているわけでもなく。

池田:そうですね。アウトドア系の会社があったり、朝ヨガをやっているところがあったり、ほどほどいい感じですね。田舎過ぎず都会過ぎず。福岡が隣にあるから、情報を取りに行こうとすればある程度はできますし。

ーー 福岡、糸島、そして唐津……とだんだん西に盛り上がってきている感じですね。ニューヨークのマンハッタン、ブルックリン、そのまた奥に……と流行が移っているのと似ているかもしれない。

池田:唐津は独特の地域振興をやっていて、それもあって面白い土地だなと思います。

今年から私がウェブの連載記事を書かせていただくことになったのが、唐津のコスメティック構想についてなんです。フランスにコスメティックバレーと呼ばれる、小さな生産者から大企業、デザイン会社や印刷会社、研究機関まで全部集まったコスメ関連の一大産地があるんですね。唐津でもそういう集団形成ができるんじゃないかと6、7年前からフランスと提携していろいろやっています。「ジャパン・コスメティックセンター」を中心に、唐津と玄海町を中心にオーガニックコスメの集積地にして、アジア圏に打って出ようとしている。

なかなか地方で新しい産業を作るのって難しいじゃないですか。でも、オーガニックコスメに使われるハーブは育てやすくて、高齢の農業生産者でも耕作放棄地で面倒を見てもらうのがやりやすい。ユナイテッドアローズが唐津の離島で採れた椿油を使ったり、企業とのつながりや誘致も始まっています。

ーー 先日取材した中川淳一郎さんも「唐津は最高だ」って絶賛でしたね。最後に今後の池田さんの展望を聞かせて下さい。

池田:私は会社の倒産やリストラの経験があるせいか、派手なことよりは細く長くやっていきたいと思っています。ゲストハウスに来たお客さんとお話していると「話すのが楽しくて結局1冊も漫画読めなかった」と言って帰られる方もおられるんです。日々来てくださっている方を大事に、しっかりつながりを持ちながら長く続けたいなと思っています。この場所を。


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