聞き手・文・写真:米田智彦 構成:平田提
新型コロナウイルスの影響でリモートワークに移行し、だんだん「どこに住んでも仕事できるのでは?」と考える人も多いのではないだろうか。そこでFINDERSではコロナ禍における地方移住や脱東京を実践している方々へのインタビュー連載を始める。第一弾として登場するのは、「中川淳一郎の令和ネット漂流記」を連載中の中川淳一郎氏。
2020年秋から佐賀の唐津に夫婦で移住した。東京でのPRプランナーや編集者の仕事をやめ、今は月40本(!)のライター仕事がメインだという。一体中川さんはなぜ佐賀に移住したのか? 話を訊くと、地方でリモートワークで働く人が増えるのにどんな変化が必要か見えてきた。
中川淳一郎
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ウェブ編集者、PRプランナー 1997年に博報堂に入社し、CC局(コーポレートコミュニケーション局=現PR戦略局)に配属され企業のPR業務を担当。2001年に退社した後、無職、フリーライターや『TV Bros.』のフリー編集者、企業のPR業務下請け業などを経てウェブ編集者に。『NEWSポストセブン』などをはじめ、さまざまなネットニュースサイトの編集に携わる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『ネットのバカ』(新潮新書)など。
中川淳一郎は、なぜ佐賀に移住した?
米田:中川さん、改めて訊きますが、なぜ佐賀県唐津市に移住したんですか?
中川:2013年、40歳の時に2020年(47歳)で東京五輪を見届けてからセミリタイアしようと決めてたんですよ。それでアメリカで大統領選をリポートしようかな、と。ネットニュース編集者の仕事もキツいし、貯金も貯まってきたからいざその段になったら、コロナ禍ですよ。それでどうしようか……と思ってたら、ライターのヨッピーさんが「佐賀に住み込んで地元情報を発信できる人を探してますよ」って紹介してくれて。それで「はい、行きまーす!」と夫婦で移住しました。
米田:なるほど。どうですか、佐賀は?
中川:かなり気に入っています。でもいろんな人から地方に誘われてて、将来的にはいくつも転々とした中で、最後に一番好きだったところに住んじゃうっていうのも手かなって思ってて。
米田:いいですね。僕が以前移住の本(『いきたい場所で生きる 僕らの時代の移住地図』)を出版した後、「あんたは子どもがいないからそんなこと言えるんだ」っていう人も結構いたんです。確かに子どもがいると小学校、中学校、高校どうするって問題はすごく大きい。けど今、雰囲気として、子どもがいようが移住するっていうパターンも増えていると思んですよね。
中川:だと思いますね。ちょうど先月俺、(福岡県の)糸島の民泊に行ってたんですよ。そこのオーナーの人が滋賀県出身の女性で。東京で働いて移住した人なんですね。子供を連れて、まだ4歳だからね。そういう人も増えてきています。
交通の便が良い佐賀。仕事を早めに終えて釣りに興じる生活
米田:中川さんから見て、佐賀の良さってどんなところだと思いますか?
中川:めちゃくちゃ交通の便がいいんですよ。これが結構俺はでかいかなと思っていて。米田さん、今日の取材場所まで福岡空港からバスで来てくれたけど、安かったでしょ?
米田:普通に買って1260円。「安!」っと思って。
中川:回数券買うと博多・天神680円なんですよ。空港に行くならプラス210円。成田空港から渋谷だとリムジンバスで3000円ぐらいですもんね。それと比べるとめちゃくちゃ安い。あと俺、唐津で釣りをしたいんですね。アジとかハゼとか釣ろうかなと思ってて。
米田:良いですね。俺も釣りしたいんですよ!
中川:釣りなんて趣味にしたら一生もんですよ。ずっと楽しいですよ。おかずが一品、タダで手に入るわけでしょ。魚さばきもうまくなるし。
米田:結構釣ってるんですか?
中川:まだ2回しかやってないです。近々、春になったら本格的にやろうと思ってるので。2時頃に原稿書き終わったらバーって唐津湾に行って。で、コンビニでビール2本買って、保冷剤用意して酒飲みながら2、3時間釣る。
米田:最高ですね!
中川:この前、防波堤から釣りをやってたんですけど、一緒に行った人が1時間ぐらいでカサゴとかメバル8匹釣ってましたね。ちっちゃいヤツなんですけどね。
米田:カサゴ、煮付けにすると旨いですよね。良いなあ。
中川:アラカブっていうんですけどね、こっちだと。
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