新型コロナウイルスの影響で、どこでもリモートで働ける可能性が見えて地方移住を考える人は多いかもしれない。もともと東京で働く編集者だった池田愛子さんは、故郷・唐津に戻り「唐津ゲストハウス 少女まんが館Saga」の館主となった。FINDERS編集長・米田智彦の著書『いきたい場所で生きる 僕らの時代の移住地図』の編集・構成担当でもあった池田さん。なぜ佐賀・唐津の地でゲストハウスを始めたのか?
同じく唐津に移住したニュース編集者・ライターの中川淳一郎さんの記事と合わせて読んでいただきたい。
聞き手・写真:米田智彦 構成:平田提
『ユーリ!!! on ICE』聖地巡礼の地、唐津のゲストハウス「少女まんが館Saga」
ーー まさか僕の移住本の編集者だった池田さんが、それを一つのきっかけに移住を考えて、唐津でゲストハウスを始めてしまうとは。
池田:元から故郷の唐津に帰る前提ではあったんですが、米田さんとの移住本のお仕事でご縁がつながって、ゲストハウスをやりながらライターもしています。『福岡移住計画』さんで移住者さんにインタビューしたり求人記事を書かせてもらったり、そのご縁で『greenz.jp』さんで書かせてもらったり……ありがたいです。
ーー ゲストハウスはたくさんあるでしょう。その中でどう差別化を考えていたんですか?
池田:帰ろうって決めた2016年の頃って、結構、日本中でゲストハウスがたくさんでき始めていました。でも、まだ唐津はない状態だったんで、これから建つだろうなと。
唐津って福岡と1時間ぐらいの距離で日帰りできるところなので、競争相手は福岡のゲストハウスになりそう……だったら普通に民家を改築するんじゃなくて、もうちょっとエッジが利いてないと厳しいかなとは最初から思っていました。
ーー それで少女漫画のゲストハウスというコンセプトに?
池田:そうですね。少女まんが館っていうのが元々東京あきる野市にあるんですよ。雑誌を含めて6万冊以上の、国会図書館にもないような貴重な少女漫画の資料があるところです。
そちらを取材したことがきっかけで、ちょこちょこ行くようになって「今度唐津につくるゲストハウスに自分の持ってる少女漫画を置こうと思っています」って話をしたら「少女まんが館を名乗っていいよ」ってのれん分けをしていただけたんです。だったらそれを前面に出したほうが面白いかなと。それが2016年の冬ですね。ちょうど一番米田さんの本で忙しかった……。
ーー 僕の本の編集ですね(苦笑)。ご苦労をおかけしました。めちゃくちゃ忙しかったですよね。
池田:あの本でバタバタだった頃に『ユーリ!!! on ICE』っていう唐津を舞台にしたアニメが放映されたんです。2016年の忘年会で「実は来年唐津に帰るんだ」って話をしたら、オタク友達が「絶対行くから」って食いつきが良かったんですよね。ああ、こういうニーズが今出てきてるんだなって思って。アニメ好きや漫画が好きな人たちが少しずつ泊まってくれるようになって、泊まってくれた人同士が仲良くなってくれたりっていうのも、コロナの前は結構ありました。
ーー 泊まられる方はどの地方から来ることが多いんですか?
池田:関東、関西、全国のいろんなところから来ていただいてますね。聖地巡礼のついでにここに泊まる方が多いです。せっかくだったら「漫画が読めるところに泊まりたい、趣味が合う人に会えるんじゃないか」って思ってくれているみたいです。
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