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日本のデジタル社会の未来 IT・ソフトウェア業界の雄が語るDX、デジタル庁はどうなる?!〜CSAJ新年特別談話 (前編)
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  • 2021.02.09
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日本のデジタル社会の未来 IT・ソフトウェア業界の雄が語るDX、デジタル庁はどうなる?!〜CSAJ新年特別談話 (前編)

2021年1月22日、帝国ホテル 松の間において、日本のIT・ソフトウェア業界を牽引する一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(以下、CSAJ)の幹部が一堂に会し、「日本のデジタル社会の未来」と題した新年特別談話の場が設けられた。

ここでは、CSAJ会長の荻原紀男氏(株式会社豆蔵ホールディングス 代表取締役会長兼社長)、筆頭副会長の水谷学氏(ピー・シー・エー株式会社 取締役相談役)、副会長の田中邦裕氏(さくらインターネット株式会社 代表取締役社長)の三者により行われた特別談話についてご紹介したい。

談話では、欧米各国に比べて大きく遅れているといわれる日本のデジタル社会の現状を受け、その改善に向けた提案が語られるなど示唆に富んだものとなった。専門性の高い話題だけでなく、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やデジタル庁といった、タイムリーな話題にも触れられており、ソフトウェア業界の人たちだけでなく、ITの活用に取り組む一般企業の人たちにも参考になるはずだ。

後編はこちら

一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)

CSAJは、ソフトウェア製品に係わる企業が集まり、ソフトウェア産業の発展に係わる事業を通じて、我が国産業の健全な発展と国民生活の向上に寄与することを目的としている一般社団法人。1986年(昭和61年)に設立され、675 社・団体(うち正会員518社、令和3年2月現在)が加入する国内最大のIT・ソフトウェア関連業界団体。

CSAJ会長
荻原紀男氏(株式会社豆蔵ホールディングス 代表取締役会長兼社長)

1958年1月生まれ。1980年3月中央大学卒業。外資系会計事務所及び監査法人を経て、1996年、荻原公認会計士税理士事務所開業。2000年、株式会社豆蔵(現 株式会社豆蔵ホールディングス)取締役就任。03年、同社代表取締役社長就任後、19年、同社代表取締役会長兼社長就任(現任)、税理士法人プログレス開業代表社員(現任)。

CSAJ筆頭副会長
水谷学氏(ピー・シー・エー株式会社 取締役相談役)

1958年3月生まれ。1980年3月中央大学卒業。80年、昭和監査法人入社、89年、ピー・シー・エー株式会社入社、2000年、常務取締役 システム開発本部長就任。06年、同社取締役副社長 管理本部長経理部長就任、07年、同社代表取締役社長就任、18年、同社取締役相談役就任(現任)

CSAJ副会長
田中邦裕氏(さくらインターネット株式会社 代表取締役社長)

1978年1月生まれ。1998年3月国立舞鶴高等専門学校卒業。国立舞鶴高等専門学校在学中の96年、レンタルサーバー事業を立ち上げ。学校卒業後98年、有限会社インフォレストを設立。99年、さくらインターネット株式会社を設立。代表取締役社長就任(現任)2005年、東京証券取引所マザーズ上場。15年、東京証券取引所第一部上場。

取材・文・構成:伊藤僑

2021年の抱負について

荻原CSAJ会長(以下、荻原):昨年9月、政権の意向によりデジタル庁を新設するという話が急に出てまいりました。合わせて基幹システムを統一することも発表されています。各省庁がバラバラにつくってきたシステムを連携させるよりも、基幹システムを統一した方が、予算を合理的に使うことができそうなので、これまで生じていたさまざまな問題の解消も期待できますし、より多くの利便性を享受できるようになるはずです。

ただし、これを構築するのには5年から7年はかかるでしょう。その間も利便性の改善を進めながら、基幹システムの移行を実現していければと思います。本件については、当協会としても積極的に関わっていきたいと考えます。

自社としましては、元々オブジェクト指向から生まれた会社なので、それを発展させた基幹システムのアジャイル開発に取り組んでおり、それと連動するものとして、さまざまなソフトウェア開発企業様にAPIを公開していただいて、それらをつなぐ仕組みを提供し、ロボット・アズ・ア・サービス(RaaS)という形等でご提供させていただきます。

もうひとつは、実際に動くロボットです。軽素材を活用してアームを軽くできればモーターも軽量化できるので、これまでにない新しい可能性が見えてきます。加えてAIの活用も積極的に推進し、多様な分野で使われるロボットを探求していきたいと思います。

我々は、「人がやらないことをやれ」、「一番難しいことにチャレンジしろ」ということをモットーとしている会社なので、時には「ノルマが高すぎる」といわれることもありますが、今後もデジタル社会の先頭に立っていきたいと思います。

水谷CSAJ筆頭副会長(以下、水谷):弊社は基幹業務ソフト分野の会社で、会計ソフトや販売管理ソフト、給与計算ソフト等を扱っており、このような分野で業界に貢献していきたいと思っています。今後DXを進める上では、サプライチェーン・企業間取引の自動化が大きな課題になってくると思いますが、1社だけでシステムを導入するのではなく、取引先と情報交換を自動的に行うことで大幅な省力化を達成していくことが今後必要であると考えています。

また、CSAJの活動では、電子インボイス推進協議会(E-Invoice Promotion Association、以下EIPA)を設立し、CSAJが事務局を担っています。内閣官房の方々などと一緒に、2023年10月に予定されている電子インボイス制度に対応した国際規格「Peppol(ペポル)」の日本版導入に向けた仕様作成に取り組んでいます。

もう1つはTC295です。ISOによる会計ソフトの標準化、オーディット・データ・スタンダードといいますが、そのデータ構造を定義していく国内の審議委員会も、実はCSAJが事務局を担っています。現在、世界各国と会計データ、ERPデータをやり取りするための標準化に取り組んでいるところです。

また、社会保険システム連絡協議会も、CSAJが事務局を担当していますが、同協議会では、健保組合における電子申請の適用を推進する中で、APIを中心とする電子申請に対応したソフトウエアメーカー様にもご参加いただき、厚生労働省様、総務省様等と協議し、電子申請を広範に自動化していくための作業を進めています。

田中CSAJ副会長(以下、田中):私は、今年は「デジタル前提元年」ではないかと思っております。デジタル技術、コンピュータ、インターネットは、長い歴史を持っていますが、これまでは便利さや省力化など、ちょっとした手段として使われてきました。しかし、既にインターネットやデジタル、コンピュータがなければやっていけない社会が構築されてきたのにもかかわらず、そのような社会が到来していないかのように見受けられる場面が国内にはまだたくさん残っており、デジタルに長けた人たちは、苦々しく思っていたわけです。

そうした脇役や添え物として扱われてきたデジタルを中心に据え、紙や印鑑は副次的なものとして位置づける。このような「前提の転換」が、今年は起ころうとしているのではないかと思います。

もうひとつ忘れてはいけないキーワードが「VUCA」。いわゆる変化の激しい社会だと思います。これまで変革を起こそうとしてきた人たちは異端者のように見られる傾向にありましたが、今は社会構造や環境自体が変化し、変革を拒みこのままでいようとする人たちの方が、抗っている存在であると認識されるようになりました。つまり、変化が前提となる社会が到来したといって良いのではないでしょうか。

そこで、我々さくらインターネットが今年やるべきこととしては、クラウドファーストの世界でのプレゼンスの発揮と思っております。クラウドが生まれて10年以上が経過し、「クラウドファースト」というキーワードも注目を集めています。クラウドを活用すれば参入障壁も低く、失敗も取り返しやすい。さまざまな意味でチャレンジしやすい基盤です。それが国に、大企業に、一般企業に広く浸透することで、日本のDXを成功に導くことができると思っています。

さくらインターネットおよびCSAJの活動を通じて、多様なソフトウェアの活用がもたらすデジタル前提の社会を、全国民が手軽に使えるようになることを目指して邁進していきたいと思います。

CSAJ会長 荻原紀男氏(株式会社豆蔵ホールディングス 代表取締役会長兼社長)

次ページ:CSAJの将来ビジョンとは?

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