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「日本のコロナ対策が成功した理由」は何か。専門知と現場知の融合から見えてくる希望【連載】あたらしい意識高い系をはじめよう(5)
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  • 2020.05.28
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「日本のコロナ対策が成功した理由」は何か。専門知と現場知の融合から見えてくる希望【連載】あたらしい意識高い系をはじめよう(5)

2:日本の当局を認めたくない人がハマる免疫系の仮説

確かに、「BCG接種が関係してるんじゃないか」とか、「アジア諸国は中国由来の別のコロナウィルスに既に感染している人が多く、それが免疫になっているんじゃないか」とか、なかなか面白い仮説ですし、今いろんな科学者さんが検証している最中ではあります。

ただ、こういう「免疫系」の仮説には一つ大きな問題があって、それはそもそもこの新型コロナウィルスは、中国の武漢市で大悲劇になって始まったんだってことを忘れているんじゃないか?ってことです。

確かにひょっとするとBCGか、別のコロナウィルス由来の免疫で、欧米に比べてアジア諸国では致死率が低くなる効果はあるのかもしれない。でも、その「安全圏」にアジアだけでなくニュージーランドやオーストラリアみたいなところまで入るのに、中国の武漢市は入らない?…ってそんなわけないですよね。

ひょっとすると、ノーガード戦法に出た時に本来10万人死ぬところ数万人ぐらいになる効果はあるのかもしれませんが、じゃあアジアじゃ何もしなくて大丈夫!緊急事態宣言なんか無駄だった!…というわけにはいかないのは武漢市という巨大な反例を見ればわかることなはず。

日本のように医療制度が整っている国だけでなく、東南アジアの発展途上国でも欧米に比べて死者数が断然少ないというミステリーは、今世界的に大きな謎になっています。

しかし、たとえば「免疫系の仮説」は、武漢市という巨大な反例がある。

また、「アジアの文化」が原因とする色々な説も、ほぼ欧米寄りの文化を持つニュージーランドやオーストラリアも死亡率が欧米に比べて断然低い…という反例があります。

これを統一的に説明するために私が提案したい仮説は、「コロナ禍は借金のようなもの」という「借金仮説」です。

つまり、

早いうちから危機感を持ってある程度マトモな対策をしていれば多少いい加減な対策でも乗り切れるが、欧米のように「どうせ遅れたアジアの国だけで流行るような風土病だろう。自分たちには関係ない」とか言ってるうちにある閾値を超えてしまうと、もうどうしようもなくなる

…という

“借金”みたいな性質

なのではないでしょうか?

3:コロナ禍の難しさは、「借金との向き合い方」みたいなもの?

この「借金仮説」を図示すると以下のようになります。

借金って、たとえばクレジットカードで買ったものを、一件一件全部家計簿に転記して指差し確認しなくちゃ…ってなると疲れちゃいますよね。

それが出来る人は限られるというか、国全体で見ると非常に強権的に中央政府がリードする必要性が生まれてしまう。

一方で、月1回ぐらい明細が届いた時にちゃんと確認しておいて、「あ、ちょっと使いすぎたな。来月飲み会一回パスするぐらいかな」的に「なんとなくの方針」をたてて管理するぐらいなら、ほとんどの人が無理なくできるやり方になるじゃないですか。

でも、これがリボ払いの仕組みがよくわかってないままリボ払いにしていて、残高が積み上がっていって毎月払っても払っても元本が減らない…みたいな状況になってしまうと、同じ「借金という現象」が、途端に物凄く手に負えない現象になってしまいますよね。

で、この「手に負えない状態」になってしまってから「借金」というモノを見ると、こんなのどうやって制御すればいいんだ!ってなるんですけど、そもそもそうなる前に月1ぐらいで見ていれば、「こんな簡単なこと、なんでできないの?」というように見える。

日本の「ゆるゆる対策」がうまく行った理由(最近流行りの言葉で言うと“ファクターX”)…をちゃんと説明するには、こういう「ちょうど良さ」という視点が重要になってくるはずなんですよ。

逆にいえば、欧米でもロックダウンのような強烈な政策で「自己破産」的に借金を一度チャラにしてしまえば、そこから先は「今人類が思っているよりもゆるい」対策で乗り切れる可能性が高く、その時に日本のやり方が評価される流れも来るはずだ…という風にも考えられます。

ツイッターで、欧米企業の日本支社を経営している「とくさん」という方が以下のように書いていました。

実はここには、日本人なら普通に考えるけれども、なかなか欧米人の認識する文脈に乗りづらい「あるスレ違い」があるんですね。

この「落差」を理解するには、「パラダイム(モノの見方の型)」を転換する必要があるわけです。

次ページ:4:日本人の強みと「科学という仕組み」の間を繋ぐ新しい考え方

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