身体の制約を越える表現が、六本木のステージに立ち上がった
一般社団法人WITH ALSは2026年6月20日(土)、ALS啓発音楽フェス 「MOVE FES.2026」 10周年特別公演をEX THEATER ROPPONGIで開催した。会場来場、オンライン配信、メタバース会場を組み合わせたハイブリッド形式で行われ、会場には900人、配信・メタバースには170人、合計1,070人が参加した。
「MOVE FES.」 は、ALS患者であり、総合プロデューサーを務める武藤将胤(EYE VDJ MASA)が企画・演出するALS啓発フェスである。2016年に始動して以来、音楽とテクノロジーを掛け合わせながら、ALSの認知拡大と、身体の制約を越えた表現の可能性を発信してきた。
10周年となる今回は、テーマに 「THANKS × RESPECT. 感謝と尊敬の10年。」 を掲げた。音楽ライブ、ALS TALK SHOW、身体拡張、分身ロボット、脳波ドローン、eスポーツ企画などが一体となり、単なるチャリティイベントにとどまらない、研究開発とエンターテインメントが交差する場となった。
オープニングでは、M++DANCERSによるLEDダンスパフォーマンスが会場を照らし出し、10周年特別公演が幕を開けた。序盤のライブパートには、NOBU、SOME≡LINEZ、内澤崇仁(androp)が登場。ジャンルを越えたパフォーマンスが続き、会場、配信、メタバースを横断する 「BORDERLESS LIVE」 の熱量を高めていった。
中盤のALS TALK SHOWには、武藤将胤に加え、吉藤オリィ氏、荻野幹人氏、黒川久里子氏、せきぐちあいみ氏、南澤孝太氏、中村真理子氏らが登壇した。トークでは、この10年の歩みと、次の10年で目指す未来像が語られた。吉藤氏は、障がいと身体拡張について、できないことがあるからこそ進化や研究が進むという趣旨の言葉を述べ、登壇者たちからも強い共感が寄せられた。
ステージでは、武藤がロボットアームをコントロールしながら登場した。さらに、オリィ研究所、WITH ALS、慶應義塾大学KMD、TSIホールディングスとの連携によって生まれた新作 「MOVE WEAR」 も披露された。ユニバーサルデザイン、ファッション、研究開発が交差するこの場面は、MOVE FES.が目指す未来を象徴するものとなった。
武藤はこの10年について、ALSの発症メカニズムの解明が進んできたからこそ、次の10年で治療方法が生み出されると信じていると語った。さらに、テクノロジーの進化によって、誰もが自分らしく身体を拡張し、分身ロボットやロボットアーム、アバター、ドローンまで自在に操れる時代が来るはずだと展望を示した。
今回の大きな見どころのひとつが、主催者が世界初とうたう 「BRAIN DRONE」 の公開実験である。脳波でドローンを操る実験を観客の前で行うことで、研究成果を単に説明するのではなく、目の前で体感できるかたちに変換した。ALSの未来や身体拡張技術の可能性を、ステージ上で可視化する試みだった。
NTTの技術と武藤の取り組みを掛け合わせた 「MOVE FES.2026 ESPORTS CUP」 も開催された。筋電センサーを使ってドローン飛行ゲームに挑戦する参加型企画であり、ゲーム操作とは何か、身体を使うとは何かという前提を問い直す体験となった。
会場入口では 「01 ROBOT POP-UP STORE」 も展開された。武藤が視線入力でデザイン、プロデュースする 「01 BORDERLESS WEAR」 のユニバーサルアイテムやALSチャリティアパレルを販売。遠隔地から分身ロボット 「OriHime」 を操縦するパイロットとWITH ALSスタッフがチームを組み、遠隔接客販売を行った。移動や身体的制約の有無にかかわらず、販売やコミュニケーションの担い手になれることを、会場で具体的に示した。
後半のライブパートには、HOME MADE 家族、清春らが登場した。HOME MADE 家族のMICROは、歌唱中にステージから客席へ降り、車椅子席の観客一人ひとりと目を合わせながら握手を交わした。ステージ上では、胸がいっぱいになって抑えきれなかったと語り、会場全体が深い一体感に包まれた。
EYE VDJ MASAのステージでは、この日のために視線入力で作詞・作曲したオリジナル楽曲群を披露した。ゲストアーティストやパフォーマーとのコラボレーションにより、音楽、身体表現、テクノロジーを横断するMOVE FES.ならではの総合演出が実現した。
フィナーレでは、全ステージ終了後に登壇者全員が再登壇した。武藤の締めコメントの途中には、妻・ゆうこさんと娘さんからHOME MADE 家族へ復活を祝うサプライズ花束が贈られた。感謝と尊敬、そして祝福が重なる光景は、10周年の締めくくりにふさわしいものだった。
武藤は、2016年にMOVE FES.を始めたとき、10年後を想像するのが怖かったのが本音だったと振り返る。それでもALSの未来は必ず変えられると信じ、テクノロジーとクリエイティブの力で挑戦を続けてきた。10周年の今回、仲間たちとともに次の10年のはじまりを示せたことに、深い感謝と尊敬の気持ちがあるとコメントしている。
ALSは、運動ニューロンが侵されることで、全身の筋肉が徐々に動かなくなる指定難病である。意識や五感、知性は保たれたまま、手足の自由、声、呼吸の自由が奪われていく。だからこそMOVE FES.が提示する 「身体を拡張する」 という視点は、医療や福祉だけでなく、社会参加、表現、働き方、エンターテインメントの未来にもつながっている。
一般社団法人WITH ALSでは、MOVE FES.2026の開催レポート第2弾として、翌月にムービーレポート公開にあわせたプレスリリースを予定している。当日の映像ダイジェストとともに、ライブ、ALS TALK SHOW、EYE VDJ MASAのコラボステージ、遠隔接客販売などの舞台裏や臨場感を、映像を通じてあらためて発信する予定だ。
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ALS啓発を目的とした音楽フェス 「MOVE FES. 2024」 が開催
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MOVE FES.2026(10th ANNIVERSARY)
日程:2026年6月20日(土)
会場:EX THEATER ROPPONGI
開催形式:会場/オンライン配信/メタバース
主催:一般社団法人WITH ALS
特設サイト
https://www.movefes.jp/
アーカイブ配信(販売期間:2026年7月19日(日)まで)
https://withals.zaiko.io/e/movefest2026
一般社団法人WITH ALS
http://withals.com/