LIFE STYLE | 2026/06/09

330年続く和歌山の醤油蔵を未来へ。
堀河屋野村が文化財建築の修理・耐震補強
へクラウドファンディングを開始

醤油発祥の地・和歌山に残る老舗蔵。
国登録有形文化財5棟を守るため、READYFORで支援を募る

文・カトウワタル(FINDERS編集部)

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330年続く醤油蔵を、未来へ

和歌山県御坊市で 三ツ星醤油 と 徑山寺味噌 をつくり続ける老舗醸造元 「堀河屋野村」 が、クラウドファンディングサービス 「READYFOR」 にて、文化財建築の修理・耐震補強に向けた支援募集を開始した。

堀河屋野村 十八代 野村圭佑よりご挨拶

堀河屋野村は、元禄元年 (1688年) に紀州徳川家の荷を運ぶ廻船問屋として創業。その後、江戸の取引先への手土産としてつくっていた醤油と徑山寺味噌が本業となり、現在まで330年以上にわたって味を受け継いできた。店舗兼主屋や仕込蔵など計5棟は国の登録有形文化財であり、現在も醤油醸造販売の場として使われている。

手麹と薪火で守る、変わらないものづくり

堀河屋野村の看板商品である「三ツ星醤油」は、野村家の家紋に由来する名を持ち、「当主自らが仕込む醤油でありたい」という思いのもと、代々つくられてきた。醤油の原点とされる徑山寺味噌をはじめ、赤味噌、白味噌、合わせ味噌なども古式の製法で手がけている。

同蔵が大切にしてきたのが、麹を人の手で管理する「手麹」の製法だ。温度や水分を見極めながら麹と向き合う作業は、効率化や大量生産とは異なる時間を必要とする。また、蔵にはガスがなく、大豆は薪火で炊き上げる。夜中から火を起こし、炎を見守りながら仕込みを行う手法は、同蔵が守り続けてきた味の土台となっている。

「いつ崩れてもおかしくない」 店舗兼主屋の現状

今回、支援の対象となるのは、堀河屋野村の顔ともいえる 「店舗兼主屋」 の修理と耐震補強である。長年の経年劣化により、梁の亀裂、柱の腐食、屋根の陥没、白アリによる虫食い、雨漏れによる構造部へのダメージなどが確認されており、専門家の調査でも深刻な状況が明らかになったという。

同蔵では、これまで部分的な補修を重ねてきたものの、今回は劣化への 「修理」 と、今後起こりうる地震への 「耐震」 を同時に行う大規模な工事が必要になった。和歌山は南海トラフ巨大地震の発生も懸念される地域であり、一度失われれば元に戻すことができない文化財建築を守るため、クラウドファンディングへの挑戦を決めた。

工事では、伝統工法の建築物に適した限界耐力計算に基づく補強を採用予定。梁の補修、建物の傾きを戻す 「家起こし」、柱と梁の接合部の変形性能を高める耐震リングの設置、屋根の一部葺き替えなどを行い、建物の骨格を健全な状態へ戻していく。

堀河屋野村の顔であり、お客様をお迎えする 「店舗兼主屋」 の内部
傾きが酷くなってしまっている床の間
専門家の調査によると、梁の亀裂だけでなく、柱の腐食や屋根の陥没も確認されており、修理と耐震補強が急務となっている。

返礼品には醤油・味噌のほか、蔵見学や食事体験も

クラウドファンディングの目標金額は700万円 (最終目標金額2700万円)。支援コースには、返礼品を受け取らない 「お気持ちご支援」 のほか、三ツ星醤油や徑山寺味噌などを受け取れるコース、普段は非公開の製造蔵を当主が案内する蔵見学コース、コラボレーション商品、名店で味わう食事体験コースなどが用意されている。

同蔵は、支援金を耐震補強工事に活用するとしている。堀河屋野村にとってこの建物は、商品を売るためだけの場所ではない。醤油や味噌を通じて人と出会い、和歌山に根づく食文化を伝えてきた場でもある。330年続いてきた営みを次の時代へつなぐための取り組みが、いま始まっている。


堀河屋野村|崩れたら二度と戻せない。330年続く醤油蔵にご支援を!
実施者:三ツ星醤油醸造元 堀河屋野村
実施サイト:READYFOR
目標金額:7,000,000円 (最終目標金額2700万円)
支援内容:国登録有形文化財である店舗兼主屋の修理・耐震補強

READYFORプロジェクトページ
https://readyfor.jp/projects/horikawayanomura