持続可能な開発環境をどう構築するか
このように単にコンテンツのみならず、サービス化されて広がる可能性、二次的な創作を生む可能性など、もはやエンタメという言葉でさえ分類不可能な規模にまで成長したビデオゲーム産業。ただし、このような成長に期待するだけではなく、その裏側にも十分憂慮したい。
その一つが、ビデオゲーム産業における労働環境だ。2021年にはアメリカ大手のゲーム企業Activision Blizzardが、複数の重役によるセクハラ、パワハラを理由にカリフォルニア州の公正雇用住宅局による調査を受けるなど、ゲーム業界における長時間労働やセクハラの指摘が相次いでいる。
事実、2021年から延期をした『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』の延期理由に開発者は「素晴らしいチームの健康や福利を犠牲にしないため」と述べており、また2021年に発売した『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』の開発者の一人も、「(少なくとも自分の知る限り)一度も残業することなく最後まで開発を終えられた」と述べている。延期によりPS5の出だしは芳しくなかったが、持続可能な開発環境を作るためにはむしろ英断だと言える。
一貫して成長を続けるゲーム産業。2022年は任天堂とSIEによる艦隊決戦に加え、サードやインディーからも期待の新作が続々と参戦。まさにコンテンツの大嵐なのだが、そこに加え、ゲームのサービス化、二次的なコンテンツの応用、新たなテクノロジーとの合流、そしてそのような素晴らしい夢の数々を誰もが公平に作れる環境作りが少しずつでも実現することを鑑みれば、今年一年ひたすらゲームがトレンドを持っていくのだと断言できる。