2022年のゲーム業界には、ここ数年で最大規模の嵐がやってくる。
そう予感せずにいられない。筆者は長らく批評家としてゲーム業界を取材し、報道してきた。しかし2022年ほどの嵐はそうそうやってこないだろう。それほどまでに、2022年には多種多様なビッグタイトルの到来、そして、トレンドの変化を予感させている。あなたがどれほど普段ゲームを遊んでいるにせよ、何だっていい。2022年の衝撃には十分備えておくべきだ。
Jini
ゲームジャーナリスト
note「ゲームゼミ」を中心に、カルチャー視点からビデオゲームを読み解く批評を展開。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」準レギュラー、2020年5月に著書『好きなものを「推す」だけ。』(KADOKAWA)を上梓。
ゲームゼミ
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ついに始まる。任天堂による大攻勢
2022年の大イベントといえば、何よりも国内ビデオゲームにおける王者、任天堂の帰還だ。
任天堂といえば、2017年のNintendo Switchリリース、そして同時に発表した作品『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『スプラトゥーン2』『スーパーマリオ オデッセイ』の立て続けの大ヒットにより、海外市場を含め大きく躍進を遂げたことは印象深い。
2018年も『Nintendo Labo』『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』、2019年は『ポケットモンスター ソード・シールド』、『リングフィット アドベンチャー』、そして2020年には規格外のヒットとなった『あつまれ どうぶつの森』など、依然、その勢いは衰えを見せていないものの、2022年にはこれらを上回る「大攻勢」が計画されている。
まず2022年1月には『Pokémon LEGENDS アルセウス』が発売を予定している。こちらはポケットモンスターの新作でありながら、立体的なオープンワールドをポケモンと共に自由自在に駆け巡り、野生のポケモンを見つけては実際にモンスターボールを投げて捕まえられる、まったく新しい時代のシームレスなポケモンとなる予定だ。
2022年内には他にも、『スプラトゥーン3』も注目が集まる。銃弾ではなくインクを使ったシューティングゲームで独自の世界観とアートスタイルを一人で堪能できるヒーローモード、さらには友達と遊べるサーモンランなど、様々な遊び方ができる点も特徴的だ。
今作では様々な時代の建築物が合体したようなバンカラ地方で、新たなバトルやファッションのスタイルを挑戦できるとされる。一人用モードのテーマは「哺乳類の帰還」と題され、存在しなかった人類の到来を予期させる(実はただの猫かも)SFチックなテイストなど含め、任天堂の新たな挑戦を垣間見ることができるだろうか。
最後に、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編を楽しみにするファンも多いだろう。2021年末に放映された「テレビゲーム総選挙」でも堂々1位を獲得するなど、国内外から高く評価された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』。イマーシブシムなど海外のゲームデザインを取り込みながら、一方で任天堂らしい職人芸を思わせる緻密なレベルデザインと相まって、『ゼルダ』の新地平を拓いた。
もはや行けぬ場所などない、そう思わせるほど広大かつ自由な冒険ができた『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』だが、新作ではついに「空」という新たな領域を開拓。空に浮かぶ様々な大陸をパラセイルを駆使して攻略していく様子をトレイラーで見せ、まさに続編にふさわしい冒険譚となることが期待される。
他にも、ハル研究所から『星のカービィ ディスカバリー』、スクウェア・エニックスから『トライアングルストラテジー』、カプコンからは『モンスターハンターライズ サンブレイク』など、サードパーティからの供給も豊富だ。そして昨年10月にはこれらの大作をより快適にプレイするための新型Nintendo Switch(有機EL)も発売された。2022年は任天堂とNintendo Switchハードによる大攻勢に期待せずにはいられない。
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