文:窪田みちる
もしも大金を手に入れたら…?多くの人がこのような想像を膨らませたことがあるだろう。しかし、実際の富裕層たちは、お金が多すぎることが悩みの種になっているらしい。
今年10月、投資アドバイス会社のThe Motley Fool社は、富裕層の約70%が「お金を遺しすぎる」ことを心配しているという調査結果を発表した。
富裕層の人々が懸念すること
この調査は、2,000人の富裕層(純資産が1億円以上ある人)を対象に、相続に対する考え方を尋ねたもの。
調査では、富裕層が財産を残すことについて、「資産が無責任に使われてしまう」、「相続人が財産を管理する準備ができていない」、「慈善活動などに使ったほうが良いと思っている」、「相続人が怠け者になってしまう」といった懸念を抱いていることも分かった。
遺産を受け取るための『条件』を設ける富裕層も
The Motley Fool社のリサーチアナリストであるジャック・カポラル氏は、『CNBC Make It』 の取材に対し、「富裕層の人々は、学業やキャリアなど、自分たちが重要だと考える価値観を相続の『条件』とすることを積極的に検討しています」と述べている。
例えば、人気番組「Shark Tank」の司会であり、大富豪でもあるケビン・オレアリー氏は、子供や孫たちが遺産を利用することに制限を設ける予定を立てている一方、孫が大学を卒業するまでサポートする信託についても設計している。
このように相続人が遺産を受け取るための条件を設けている富裕層は多い。The Motley Fool社の調査によると、約68%がインセンティブ信託のような方法で相続に条件をつけていることがわかった。
次ページ:自身の経験から、遺産相続への不安を感じる富裕層も