CULTURE | 2021/09/16

たった8つの単語が書かれた画像のNFTが8000個も取引されているLootとは?【連載】NFTが起こすデジタルアートの流通革命(7)

実にさまざまなNFTを使ったアイテムが、流通するようになってきました。先日も、『香取慎吾NFTアートチャリティプロジェク...

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Lootの最低取引額、2000万円!?

https://opensea.io/collection/lootproject

最初の8000枚は、無償で配布されたのですが、急激に人気が集まったことや、そこから派生するプロジェクトも出てきて、とんでもない勢いで価格が高騰しました。一時期は、1つのLootアイテムを手に入れるのに最低50イーサリアム(約2000万円)にもなっていました。今は、流石に一桁下がっていますが、この原稿を書いている時点でも、6.8イーサリアム(約400万円)となっています。

さらに、派生プロジェクトも、キャラクター画像を作る権利、Loot保有者に発行される仮想通貨など、多種多様に展開しています。もちろん、それぞれが、さらに取引されていて、Lootから派生したプロジェクト全体で、大きな経済圏が出来上がっているのです。

まるで、参加した人たちが、それぞれの得意なことを持ち寄って、巨大な『Loot』という世界を作り上げようとする活気があります。

Lootから派生した日本のプロジェクト

海外だけでなく、日本にもいち早くLootから派生したプロジェクトがあります。2つ紹介しておきましょう。

Gakuen Loot

Blockchain Gakuen(ブロックチェーン学園)の生徒について書かれたLoot。double jump.tokyo株式会社代表取締役/CEOの上野 広伸氏が始めたプロジェクトで、生徒の名前・学年・クラス・所属クラブ・能力が書かれています。

上野氏がツィートしているように、みんなでどんなことができるか実験的・お勉強的なプロジェクトとして運用されています。

AnimeLoot

https://note.com/otakucoin/n/ndc1b75290fc9

オタクコイン協会が運営するプロジェクトで、異世界転生アニメを作ろうとしています。種族、性別、出身、性格がかかれたアイテムが配布されています。コミュニティでは、このアイテムをベースに、キャラクターの画像や音楽などについて、ディスカッションされています。

『妄想させるアイテム』に価値が付く?

Lootから始まったNFTの新しい使い方は、今後、さまざまなプロジェクトの在り方に変革を起こす可能性があります。これまでは、どんなプロジェクトにしても運営側が方針を決め、ルールを決め、全体の枠の中で、スタッフが作業します。つまり、トップダウンで物事が決まっていきます。映画なら、監督の世界観・価値観がスタッフに伝えられて、映画が撮影されます。

しかし、Lootは、キャラクターの初期設定しか作られていません。映画の登場人物の一覧があるだけのようなもの。それを見た人が、衣装を考え、小道具を作り、人間関係を考えていって、最終的に映画になっていきます。

そして、その最初のアイテムは、人々に妄想を抱かせ、自由な発想の中で世界観を作っていきます。LootのNFTアイテムは、アーティストが作った作品に価値を見出すのではなく、見た人が、自由に妄想する『元ネタ』を提供するアイテムなのです。

価値がどこにあるのかという発想自体も大きく変化させたのがLootであり、ある意味、大発明なのかもしれません。


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