「オービスはトンネルにはない」先輩の話を信じた結果
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家族や球団関係者の情状証人などはなく、いきなり被告人質問です。
弁護人「89キロもオーバーしたのはなぜですか?」
O被告人「ゴルフ場に着いて練習するためです」
弁護人「誰の希望ですか?」
O被告人「自分と同乗していたPさん(被告人ではないけど、こちらもイニシャルにしておきます)」
弁護人「言い出したのはどちらですか?」
O被告人「同乗していたPさん」
アクセル踏んだのは自分なんだけど、発端は先輩なんですよ、とアピールです。
弁護人「走っているとき、何キロだと思ってました?」
O被告人「130キロくらいだと」
弁護人「違反していた認識はあったんですね。周りの車と比べてかなり速くなかったですか?」
O被告人「他の車も多分、時速60キロではなかったと思います」
弁護人「車は多かった? 少なかった?」
O被告人「少なかったです。100mに1台とか」
緊急事態宣言の数日後で午前6時過ぎ。首都高がスカスカでスピード出していた車は多かったかもしれませんね。
弁護人「車にオービスの場所を教えてくれるレーダー探知機がありましたけど、あなたが取り付けたんですか?」
O被告人「いや、中古で買った時からです」
弁護人「ついているから車を買ったんですか?」
O被告人「いいえ」
弁護人「普段から使ってたんですか?」
O被告人「音がうるさくて使ってませんでした」
弁護人「この日、4月12日は使ってました?」
O被告人「はい」
いつもはスイッチ切ってたのに、スピード違反をした日に限って使用していたとは、これいかに。
弁護人「なぜですか?」
O被告人「オービスを検知する機械ってことも役目もわかっていなくて、それでPさんにどういうものか教えていただいて」
愛車についてる機械のことをまったく知らなかったなんて。先輩としても、取り付けてあるんだし作動させたらと勧めるのは自然な流れでしょうかね。
弁護人「じゃあ、オービスがあるって通知ありましたよね? 減速しなかった理由は?」
O被告人「Pさんはアプリを見てて、トンネル内にオービスはないってPさんの言葉を信じて」
弁護人「何のアプリ見てたんですか?」
O被告人「オービス、どこにあるか教えるから急いでって」
そんな、オービスの位置を知らせるアプリもあるんですね。残念ながら、すべて網羅しているわけじゃないようで…。
弁護人「探知機よりPさんの言葉を信じたと」
O被告人「はい」
余談だけど、東京地裁でのスピード違反の裁判は、この場所ともう1カ所が現場になっていることが多くて、両方ともトンネル内ですからね。ありますよ、オービス。
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