音楽一筋が歪めた被告の倫理観
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続いて、検察官から。
検察官「去年の11月3日に事件起こして、逮捕されて、保釈されてすぐ盗み。友人にお金借りるとかできなかった?」
L被告人「相談できない自分がいました」
検察官「3月1日の事件は、盗んだ後に戻ってきてるでしょ。いくら必要だったんですか?」
L被告人「5万円くらい…」
この時の被害金額は9050円だから、まだまだ盗もうと企んでたようですね。なんというアンコール。
検察官「あなたも音楽やってますよね。どうです? 演奏、ステージ終わって、最高の気持ちで楽屋戻って財布なかったら」
L被告人「大変憤ると思います」
と、被害者と同じ音楽に携わる人間だろうと、感情に訴えかけたところで、
検察官「で、仕事なんですけど、今までアルバイトはしたことないんですか?」
L被告人「スーパーで品出しとか」
検察官「今後、音楽以外の仕事をしようとかは?」
L被告人「音楽イベントの主催者になろうかと…」
ガッツリ音楽の仕事でしょ。美しすぎるフリとボケの調べ。
検察官「音楽以外はやらないんですか?」
L被告人「考えるべきできると、どうしても…。でも、選ばずにバイトします」
と、バイトをしながら音楽の道は諦めずに続けることを約束していました。
最後は、裁判官から。
裁判官「収入減って足りない時に、何故他のアルバイトしようって発想にならなかったんですか?」
法廷にいる人全員共通の疑問です。
L被告人「少しはあったんですけど、子どもの頃から音楽やってきてたので、音楽の仕事、と」
音楽1本にこだわったがゆえに、犯罪の中身も音楽が絡んでしまったとはねぇ。
この後、検察官の求刑です。去年の12月の港区の件について懲役2年、今年3月の中央区の件について懲役1年が求刑されました。前刑の確定前の余罪と執行猶予中の再犯がごちゃまぜになってて、法学部の学生向けの問題のよう。
そして、3週間の7月6日。判決が言い渡されました。主文は、1つ目の事件が懲役1年6月。2つ目の事件が懲役6月でした。判決理由としては、被告人は音楽の仕事に従事していて、その知識を利用して出演者と装ったり、事前に会場のスケジュールを調べていたり、悪質であると。なので、再度の執行猶予はつけられないという判断でした。
刑に服して、社会に戻ってきたとき、音楽がなくなってるわけじゃないですからね。あと、父親から引き継いだ才能や知識や経験も。