LIFE STYLE | 2020/07/15

世界的にも稀なケース。後部頭蓋骨と脳内静脈結合の2歳の双子が分離手術に成功!

母親の子宮の中で体が結合した状態で生まれる結合双生児(シャム双生児)。
結合双生児の出生率は極めて低く、死産のケースが...

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母親の子宮の中で体が結合した状態で生まれる結合双生児(シャム双生児)。

結合双生児の出生率は極めて低く、死産のケースが高いと言われている。また、結合双生児とひと口に言っても、そのケースはさまざまだ。

たとえば日本で分離手術を受けたベトナムの兄弟ベトちゃん・ドクちゃんの場合は、2つの上半身がひとつの下半身を共有するかたちで生まれた。

今回紹介するのは、中央アフリカ共和国出身の双子のケース。双子はプレフィナちゃんとエルビナちゃんの姉妹で、2歳になったばかりだ。

プレフィナちゃんとエルビナちゃんはうなじから頭頂部にかけての頭蓋骨後部の広い範囲と脳内の静脈が結合した状態で生まれたが、医療設備が不十分な同国から、国際人道活動の一環として分離手術を受けるためにイタリア・ローマの病院に送られた。

そしてついに7月7日、イタリア・ローマのバンビーノ・ジェズ小児科病院は双子の分離手術に成功したことを報告。

次ページ:結合双生児のプレフィナちゃんとエルビナちゃんが分離手術に成功するまで

同院のサイトによれば、2人はこれまで生まれた結合双生児の中でも、頭蓋骨の後部領域や頭頂部の骨と静脈系が複雑に結合した稀な例で、イタリアでは初の事例だという。

特に脳の静脈構造の手術は極めて複雑で、出血や虚血のリスクが高いため、手術の前準備のために約1年間を要した上で、手術は3回に分けて段階的に進められた。

最後の手術は6月に実施。神経外科医や麻酔科医、神経放射線科医や形成外科医をはじめ、神経リハビリテーション医、エンジニア、各専門分野の看護師、理学療法士などの医療チームが結成され、18時間かけて行われた。

術後1カ月経ち、プレフィナちゃんとエルビナちゃんはこれから数カ月にわたって保護用のヘルメットを装着し続ける必要があるほか、コロナ禍において感染症対策も必須となる。

だが、2人は脳に損傷もなく元気に過ごし、音楽を聴きながら手でリズムに合わせて動かすことができるまでに回復したという。