「高スペック」でも不安は解消されない
ーー 社会的な不安から、安定を求めて婚活をするとなると、相手のスペックをより重視してしまいますよね。
清田:社会的に安定しているイメージのある職業の方は需要が高いですよね。公務員とか大企業の正社員とかがモテるっていう世界なので。あとは心理的な安心感でいうと、共通点が多いとより安心するじゃないですか。出身地が近いとか同じ大学だったとか。
でも、いくら高いスペックの人と結婚してもちゃんとコミュニケーションが取れる相手じゃないと不安は消えないと思うんですよね。我々は女性から悪い男の話ばっかり聞いてるので(苦笑)、どうしても男性を責めるような話が多くなってしまうんですが、根本にあるのは話の通じなさ。話をしたいだけなのに身構えられて、不機嫌になってしまう男性の話が本当に多いんですよ…。
現状でも、ただ「手を洗ってよ」って言っただけなのに「オレが汚いって言うのか!」と激昂され、そこから喧嘩に発展し最悪コロナ離婚に発展…というような例が山ほどあります。とにかく話が通じる・通じない、という部分が大きいな要素なのではないか。
ーー ネット上だと「女性は非論理的だから」というような論調もあって、今の例だと「ほとんど外に出ていないし、危険性も低いのになんで手を洗わないといけないんだ」と男性側から反論しようと思えばできると思いますが、両者の溝を埋めるにはどうすればいいのでしょうか?
清田:その気持ちもわからなくはないけど…。相手が何を意図してそれを言ったんだろうということを確認する習慣が我々日本人にはあまりないような気がするんですよね。「会話」と「対話」の違いというのがそういうものらしいんですけど。欧米だと、相手と自分は完全にはわかりあえない存在という認識がコミュニケーションの根底にあって、「その言葉の意図は何か」を読み取って、言葉で確認しながら合意ラインに乗せるというプロセスがベースにあって、それが「対話(ダイアローグ)」というものらしいんです。
女性が「手を洗って」と言ったのは不安を解消したいからかもしれないし、コロナ前から「この人、トイレに行った後にいつも手を洗ってないよな」と思われていたのかもしれない。たとえそれが非科学的な指摘に感じたとしても、一旦相手の意図を想像した上で、自分の意見を述べてみる。「どうしてそう思うの?」「手を洗うのは確かに大事だけど、それはさすがにセンシティブすぎない?」といった感じで対話していけば、合意形成ができるかもしれない。
こういったコミュニケーションが取れないと、いくら年収1000万円の高スペックだとしても一緒に生活していくのは辛そうですよね。