CULTURE | 2020/06/02

コロナ離婚・テレワーク不倫…濃厚接触なき世界の「新しい恋愛様式」を、1200人の恋バナを聞いた男が解説

Photo by 写真AC
「新型コロナウイルスの影響で社会が一変し……」という書き出しは...

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社会問題と直結する恋バナ

ーー 結婚相談所のオーネットに話を聞くと、「3月以降新規会員数は平時に比べてに増えていないが、これだけ経済状況が悪い中でもHPのアクセス数、問い合わせ数はむしろ増えていて関心の高さをうかがえる。社会的に大きな出来事があると、結婚を意識する人が増える傾向があるので、今後夏にかけて会員数は増えていくのではないか」とのことでした。コロナの影響で恋愛・結婚を望む人が増えていくことに関してどうお考えですか?

清田:我々は女性を中心に恋愛相談に乗っていて、最近はオンラインで話を聞くことも多いんですけど、そもそも「不安だから結婚したい」っていう人はここ4〜5年、感覚的には2015年前後くらいからずっと増えているような印象です。

女性は男性と比べても、ずっと頑張って働いてるけどなかなか給料も上がらず、昇進もできないという傾向は未だに残っています。30歳ぐらいになってだんだん体力的にもしんどくなってくると現状に不安が募り、このままでいいのかと思い始める。それで選択肢のひとつとして結婚がセーフティーネットのように思えてくると、彼女たちの多くが語っていました。

昔の恋愛相談は「好きな人に振り向いてもらえない」とか「最近彼氏がそっけない」とか、いかにも「恋愛」って感じの内容が多かったんですが、いつからか社会情勢とか人生の不安が張り付いてるものになったように感じています。

2017年に『生き抜くための恋愛相談』(イースト・プレス)という本を出版したんですが、「恋愛の悩みと生存の悩みがつながってしまっている」という問題意識も込めてこのタイトルにしました。

「これって脈あり?脈なし?」「男にとって“重い女”ってなに?」「デートしても友だち止まり…色気とムードの正体とは?」「好きな人すら見つからない」…etc。18年で1200人以上の女性の悩みに寄り添う「恋愛相談のプロ」が、あなたのモヤモヤの核心に迫る『生き抜くための恋愛相談』

どうやって主体的な判断をするか、どのように合理的に考えるか、ということを「男はこうで女はこうで」という俗流男女論ではなく考えていこうと。

ーー 恋バナと社会問題が直結したんですね。

清田:相談の現場には「孤独死が怖い」という不安を抱えた女性が多いんですよ。「死後一週間発見されず…」みたいな状況になることをめちゃくちゃ恐れている。不安の終着点みたいなイメージだと思います。本来そのリスクは男女関係ないはずなんですけど、女性の方がよりシビアな状況に置かれているがゆえによりリアルなものになってしまっているのではないか…。それでノルマのように婚活へと向かっていく女性がすごく多い。

ーー 「 今月は絶対5人の男性と会うぞ!」というような。

清田:PDCAサイクルを回して効率を上げて。ヘトヘトに疲れてしまっている人も多いです。恋愛のふわふわした楽しい部分はそれはそれで醍醐味だと思うんですけど、そういうのは映画とかドラマで満たして、現実の恋愛・結婚は質実剛健に、というのを本当にヒシヒシ感じます。

ーー 婚活が就職活動に近づいているというか「いかに優良な条件の相手とマッチングするか」という経済活動になっているんですね。

清田:婚活市場のマーケットに出ちゃうと、どうしても内面・個性よりはスペックで見られちゃうじゃないですか。そのしんどさって男女問わずすごくありますよね。フリーランスの文筆業なんて最弱だと思うんですけど(笑)。

ーー 僕もマッチングアプリに登録してますけど、年収は盛って登録してます…(笑)。

清田:そうしないと会う前に足切りされちゃいますからね(笑)。

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