EVENT | 2021/07/06

「テレワークで社員監視ばかりするダメ上司」が生まれるワケ。部下を病ませもサボらせもしないマネジメントを考える【特集】進まない・続かないテレワーク 2021年の課題

特集記事【日本でテレワークが進まない「5つの要因」。経営陣・中間管理職・現場が明日からすべきことはこれだ!」はこちら
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新入社員はまず「先輩の業務内容のインタビュー」づくりを

―― ここからは「部下自身がテレワーク環境でいかに成長するか」というテーマでお聞きしたいと思います。実際、自分がもし去年・今年に何も知らない新卒として入社していたら結構悩んでしまうと思うんですよね。

片桐:確かに、出社していた頃は各部署を回って顔を覚えてもらいつつ会社の文化をじっくり知っていくみたいなこともありましたが、テレワークだと結構難しいですよね。

でも、それは長期的に見てやはり重要だと思うので、機会が無いようであれば下から提案してみても良いと思うんです。一緒に働く仲間のことを知りたいし、自分のことも知ってほしいと。「チームミーティングの冒頭15分をそういう時間に充てさせてもらえないですか」というお願いを新人ができたら素敵だなと思います。

―― 上司や先輩も「若手ともっとコミュニケーションを密にしたい」と思っていても、押し付けにならないように上手くやるにはどうすればいいのかと結構悩んでいると思います。

片桐:オンライン飲み会、オンラインランチをやろうにも、いきなり雑談して下さいというのも難しいですしね。そういう時にオススメしたいのが「先輩の業務内容のインタビュー」です。

新人時代にどんな仕事をしていたか、これまでの成功体験や失敗体験など、いくつかの項目を設定してヒアリングし、レポートにまとめるのも社会人のスキルとしては重要です。社内報に掲載して拡散するのも良いですし、「新人自身もしくは会社が使う業務マニュアルを作成してもらう」とプロジェクト化するのも、新人側の業務の内容理解も促進されて一石二鳥です。

あとはテレワークが進むようになってより注目されるようになってきた「ザッソウ」タイムの活用もあります。

―― ザッソウは「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」のように「雑談・相談」をかけ合わせた用語ですね。特にテレワーク環境だと相手に時間を取ってもらうことに気後れしてしまうので、いつでも気軽に雑談ができる環境を整えてこそ相談も上がってくるのだ、という。

片桐:はい。とにかく上の人が発言のハードルを下げてあげることが大事です。上が率先して「会社で家族の話をしてもいいんだ」「趣味の話をしてもいいんだな」というぐらいの空気を作ってこそ、安心して相談できるようになります。突発的に始めるのが難しいようであれば、まずは曜日と時間帯を決めて始めるのも良いと思います。

―― なるほど。最後に「テレワークの今後」については片桐さんはどんな意見をもっていらっしゃいますか?

片桐:各組織で抱えている課題はそれぞれ違うと思うので、唯一無二の正解がある話ではないですよね。まずはいったん例えばルール・仕組みを決めてやってみる。上手くいかなければ原因を洗い出して改善してみる。ちょっとやってみて問題があったからと言って「うちの会社にはテレワークは向いていない」という安易な判断は止めてほしいと思っています。

就活中の学生や中途採用の応募先を探している人たちは、テレワークの推進率をかなり重視しています。テレワーク環境に柔軟に移行できた会社は、このコロナ禍でも新規事業を柔軟に創出して成長できているところも多いです。たかがテレワークと思うかもしれませんが、その「たかがテレワーク」を実践・継続できている会社は、この先どんな変化があってもそれに対応して伸びていけるということでもあります。

もちろん職種・業種によって難しいところもあるかとは思いますが、冒頭でもお話しした通り、まずは月1回の導入でも良いと思うんです。本質は「自分たちのベストなバランスはどこなんだろう」ということを探りながら戦略的に進めるということだと思いますし。本当に、日本企業に頑張ってほしいと思っています。


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