CULTURE | 2021/06/21

なぜ新垣結衣は「アイドル女優」なのに叩かれないのか?結婚発表後も「ガッキーロス」ムードが続く理由【連載】テレビの窓から(8)

イラスト:IKUMA

木村隆志
コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者
「忖度なし」のスタンスで各媒体に毎...

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ごり押しでない本当のアイドル女優

この2年半、主演作のない新垣が「かわいいアイドル女優」というイメージをキープできているのは、人々がそれを感じるCMに多数出演しているから。好感度の高さからか、30代に突入してもアイドル女優というイメージへの違和感は生じていない。

新垣はアイドル女優という世間のイメージをまっとうするように、笑顔で振る舞い、常に穏やかで謙虚な姿を見せてきた。プライベートも庶民的で、夜の街で遊ぶ姿が撮られることはなく、他の主演女優と比べると恋の噂も極めて少ない。結婚コメントの「現場で試行錯誤する日々はそれはそれは刺激的な毎日で、いつしかその分、私生活は低刺激な時間を求め心がけ過ごしてまいりました」というフレーズからも、それがうかがえる。

たとえば、「一般男性」という発表ながら、資産○億円の会社経営者や、年収○千万のエリートビジネスマンと結婚する女性芸能人が目立つ中、新垣にはそのような交際報道が一切なかった。それどころか、「みんなが楽しんで見ていた『逃げ恥』で知り合った」という職場結婚こそが新垣のきまじめさを物語っている。

新垣は「アイドル女優として売り出されていた」のではなく、「人々にとって本当のアイドル女優だった」のだろう。新垣自身が理性的にそれを心がけていたのか、ナチュラルにそういう人なのかはわからないが、「星野との交際中もまったくその気配を感じさせなかった」というプロフェッショナルぶりも、「アイドル女優の鏡」とでも言いたくなる。

熱狂度という点では、ガッキーファンより星野源ファンのほうが上であり、その意味で結婚相手の新垣はバッシングを受けやすい状況にあった。しかし、自宅で地味なデートを重ね、SNSでにおわせることもなく、好感度を保ったままの新垣が相手では、星野源のファンも認めざるを得ないのだろう。

ライトなファン層や一般層も含め、これまで「交際発覚」「破局か」「結婚間近」などの記事が出ていなかったため、驚きとともに祝福の声しかあげづらいムードが生まれている。憶測で好き勝手言われたり、批判されたりする余地がないのだ。

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