ゴジラはなぜ科学を映し続けてきたのか。70年の物語を入口に未来を考える
1954年の誕生以来、ゴジラは単なる怪獣ではなく、その時代ごとの科学技術や社会不安を背負った存在として描かれてきた。そのゴジラを切り口に、「もしゴジラが現れたら?」 という想像から、防災・減災、環境問題、未来科学への理解を深めていく展覧会 「ゴジラサイエンス展 ~脅威に科学で立ち向かう~」 が、東京・北の丸公園にある 科学技術館 で開催される。
本展は、映画というフィクションを科学的視点で読み解くことで、科学技術がもたらしてきた希望と同時に、その影の側面にも目を向ける構成となっている。巨大怪獣という非現実的な存在をあえて想像の起点に置くことで、防災や危機管理といったテーマを、誰にとっても「自分ごと」として捉え直すことができる点が特徴だ。
会場では、1954年公開の映画『ゴジラ』から最新作まで、歴代作品を通して描かれてきた科学技術の進歩と、その背後にあった社会課題をひもといていく。ポスターやビジュアル展示を通じて、フィクションの中に込められた科学的メッセージが浮かび上がる。
さらに、ゴジラが引き起こす脅威を自然災害と重ね合わせ、防災科学を体感的に理解できる展示も展開される。強風や地響きといった怪獣の描写を、突風災害や地震と比較しながら学ぶことで、災害のメカニズムや備えの重要性が実感として伝わる。特定日には大型送風機による強風体験や起震車による地震体験も用意され、身体感覚を通じた学びの場となる。
映画に登場するメカゴジラやスーパーXといった 「対ゴジラ兵器」 と、現実世界で活躍する防災ロボットやドローンなどの最新技術を並べて紹介する展示も本展の見どころだ。フィクションの発想と現実の技術開発を対比することで、科学技術が災害対応にどのように生かされているのかが立体的に理解できる。
ホビージャパンとのコラボレーションによる 「3式機龍〈改〉消防モード」 のジオラマ展示や、災害復興の現場で実際に使われている重機の実機展示など、模型と現実の両面から科学技術に触れられる構成となっている点も印象的だ。
展覧会の後半では、科学技術の発展が生み出した副作用として描かれてきた大怪獣たちに焦点を当てる。公害のメタファーとして登場したヘドラを通じて環境問題を考える展示や、企業による先端技術・環境アクションの紹介を通して、未来の安全・安心な社会に向けた科学技術の役割を探っていく。
書きおろしのオリジナル漫画『ゴジラ ギャラクシーオデッセイ』とのコラボ展示も用意されており、物語と科学が交差する独自の世界観が広がる。
会期中は、全館を巡りながらクイズに挑戦する 「ゴジラサイエンス検定」 や、専門家を招いたサイエンス講座も実施される。地球科学や生物学の視点からゴジラを読み解く講演に加え、『シン・ゴジラ』などを手がけた映画監督の 樋口真嗣 氏が登壇する回も予定されており、特撮と科学の関係を多角的に掘り下げる機会となる。
また、『シン・ゴジラ』のロケ地にもなった科学技術館屋上を巡る特別見学ツアーも開催され、作品世界と現実空間が重なる体験が用意されている。
ゴジラは核、環境破壊、災害といった人類が向き合ってきた科学的テーマを象徴的に描き続けてきた存在である。本展は、その70年の歩みを通じて、科学技術の可能性とリスクの両方を体感的に伝える試みだ。子どもから大人まで、世代を超えて共有できるゴジラという共通言語を通じて、科学との向き合い方を改めて考える場となるだろう。
ゴジラサイエンス展
会期:2026年1月15日(木)~1月27日(火)
会場:科学技術館 (東京都千代田区北の丸公園)
開館時間:科学技術館の開館時間に準ずる
入館料:大人950円/中高生600円/子ども(4歳以上)500円
※本企画展は科学技術館入館料のみで鑑賞可能
主催:公益財団法人 日本科学技術振興財団・科学技術館
企画・制作:公益財団法人 日本科学技術振興財団・科学技術館、乃村工藝社
監修:東宝株式会社
科学考証:長沼毅 (広島大学名誉教授/安田女子大学理工学部 生物科学科 学科長・教授)
後援:文部科学省
ゴジラサイエンス展 | 科学技術館
https://www.jsf.or.jp/event/202601/godzilla/