EVENT | 2021/05/06

「仮想通貨トレーディングセンターを築地再開発の目玉に」東京都議会議員がブロックチェーンに託す夢

Photo by Shutterstock
今年3月、東京都議会の場で初めてビットコインに関する提案をした議員がいる。...

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日本からもGAFA並みの企業が誕生しうる

―― ブロックチェーン技術者の育成も課題ですね。

伊藤:私にはブロックチェーン開発のため、どれくらいの基礎知識や学力が必要か分かりません。ただし、ずっと取り組んでいるテーマの一つに「大学に行かない選択肢を増やす」というものがあります。高学歴を目指す人はそれでいい。でも一方で、一つだけ強みを持つ人たちがいていいと思っています。たとえばプログラミングの実力があるITの職人みたいな人たちですね。

私はそのために、工業高校改革に力を入れてきました。ちょうどこの春からは、いくつかのIT企業と組み、町田工業高校で「Tokyo P-TECH」という事業をスタートさせています。この事業では、IT企業が工業高校のカリキュラムを作っています。彼らがほしい人材を育て、優秀な子は引き取る。今後はこれを全16校の工業高校で横展開していきたいと思っています。同じ試みを日本工学院八王子専門学校でも5年コースで始めました。おそらくそこでは、5年で飛躍的にスキルアップする人がいると証明できると思います。

入江:IT人材の不足は東京都にとって大きな課題であり、真剣に取り組んでいます。けれど、東大理系の修士やホワイトハッカー、AIの専門家といった非常に高度な人材では、みなさん就職先に米国を選ぶ場合が多いんですよね。日本の企業と比べて給与がいいし、自由に研究ができるから。そういった人材が海外に流出しないよう、まずは産業界に取り組みを呼びかけていきたいと思っています。

―― 最後に読者へメッセージをお願いします。

伊藤:都議会議員の最も大切な役割は、都民のみなさんに幸せになっていただくことです。そのためにも、稼げる都市作りが非常に重要だと思うんですね。日本では昔から、金融よりもものづくりに重きが置かれてきました。しかし、ITで物事が動いていく時代にあっては、それよりも発想力が問われてくる。iPhoneは米国Appleの発明ですが、同じものが作れるだけの技術力は日本にもありました。アイデアがなかっただけなんです。

向こう30年、場合によっては100年間、おそらくGAFAが世界をリードするビッグカンパニーであり続けるでしょう。しかし、日本の潜在力をもってすれば、それに伍するような企業が誕生しうる。シリコンバレーの経営者たちは、若いの頃からみんなでアイディアを出し合い、切磋琢磨しながら成長してきました。だとしたら、われわれ政治家もそういう空間や機会を用意しなければならない。それこそが政治の仕事だと私は考えています。


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