働き方の多様性や柔軟性を認める時代となり、ここ数年、保守的な立場をとっていた多くの企業で副業を認める動きが増えている。
FINDERSではさまざまな副業をしながら活躍するビジネスパーソンに注目、「超副業論!」を連載している。今回ご登場いただいたのは、ビルメンテナンスのコンサルタントをされながら、アジアでさまざまな事業を副業として展開する稲垣太一さん。お話の中で見えてきたのはとにかく早く行動すること、「主人公にならない」仕事のポリシーだった。
聞き手:米田智彦 写真:移集理予 構成:平田提
転職して分かったビルメンテナンス業界の魅力
―― 稲垣さんがもともとビルメンテナンス業界に入ったのはどういう経緯だったんですか?
稲垣:東京の大学から地元の名古屋に帰って就職したのが、愛知厚生年金会館のジムインストラクターの仕事でした。その中で異動して、今度はホテルのフロントをやることになりました。ところが全国の厚生年金会館がなくなることになって、2年半で早期退職になったんですよ。次に名古屋にある投資会社で3年半働いたんですが、これまた30歳のときにリーマンショックで会社が傾きまして。
それで転職したのが、つい最近まで働いていたビルメンテナンスの会社。そこで初めてビルメンテナンス業界を知りました。
最初は実際に業務する人たちと一緒に大掃除をしたり、設備や警備の現場に入ったり、業務改善したりする中で、ビルメンテナンス業界の魅力がすごく分かってきて。
―― それはどういう魅力なんですか?
稲垣:日本って世界でも有数のきれいな国で、それを支えるのもきれい好きな人たち。その人たちと僕も現場に入って掃除して「いつもありがとうね」とか「めっちゃきれいになってる」と褒められる。そのたびに、幸福度が上がるんですよ。
以前勤めていた投資会社は、うまくいって当たり前でした。損でもしたら一気に信用を失ってしまう。それに比べればすごく地に足がついていると感じました。「この業界、懐が深いしめちゃくちゃいいな」と思ったんですよ。それからより現場の人が働きやすくするには、もっと世間に認められるにはどうしたらいいかっていうブランディングをその会社内で一生懸命やりました。
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