派遣会社やベトナムの美容院経営、米ストローをどんどん副業に
ビル清掃の手法を説明する稲垣さん
―― 稲垣さんはそれ以外にも副業をされているんですよね。
稲垣:あとは在日フィリピン人の派遣会社、ベトナムの美容院やシイタケ工場の運営をやっています。また今後は米のストローの輸入、ホテル運営をやりたいと思っています。
―― 手広いですね!
稲垣:派遣会社はすでに3期目です。フィリピンはこれからの人材供給地だと思っていたので、何か日本とフィリピンを繋ぐ仕事がやりたいと考えていました。ちょうどフィリピン銀行出身の友人が新しく在日の外国人専門の派遣会社を立ち上げたんです。僕も出資してオーナーとして参加しています。外国人の派遣でちゃんと人柄やスキルを判断するには、外国人が面接するのが一番いいと思っていて。だから社長以下スタッフは全員フィリピン人です。
―― ベトナムのホテル経営はどのように目指すようになったんですか?
稲垣:以前勤めていた会社の社長が海外で何か事業をやりたいとずっと言っていたので、僕は「ホテルをやりたい」と思ったんです、ベトナムで。海外のホテルって……日本人にとっては使いづらくないですか?
―― もうね、シャワーの熱い冷たいの。こっちの蛇口をひねったらめっちゃ熱いし、こっちやったら冷たいしとか(笑)。
稲垣:そうですよね(笑)。トイレの高さが低すぎたり、大理石なのに割れてしまうガラスのコップが置いてあったり。衛生面も含めて、日本人だったらこんな作りしないなっていうところがいっぱいあります。これってビルメンテナンスの領域なんですよ。アメニティも購入管理の範疇なので、経営以外は大体僕らの領域。そうなってくると……。
―― 海外でも戦えるぞ、と。
稲垣:三ツ星ホテルぐらいだったらベトナムでも日本とだいたい同じ宿泊費なんですよ。1泊6000~8000円ぐらいじゃないですか。でも人件費は日本よりも低い。
それで現地の知り合いに「ちょっと海外でホテルやりたいんだけど、一緒にやらないか」って連絡したら「ホーチミンにいる僕のいとこがホテルを建てようとしているから」って紹介してもらって、すぐベトナムに行ったんですよ。
―― 行動が早い!
稲垣:ベトナムに行ったら、もうすでにホテルは建設中でビルメンテナンスの契約を結ぶ段階だったんですよ。経営者の方はパッケージ工場の社長で、ホテルはサイドビジネス。経営のノウハウはあるけど、ホテルの知識がない。僕はホテル勤務経験があったし、メンテナンスも知っている。見てもらえますかって現地に行ったら契約もメンテナンスも問題がたくさんあったんです。その案件を整理したら「ぜひ一緒にやっていきましょう」となって、別の事業もお手伝いすることになりました。ハノイでシイタケ工場を作ったり、美容院経営や戦略のお手伝いをしたり。いまは僕も出資して共同経営でやっています。
―― 米ストローというのも気になりました。
稲垣:米ストローは一昨年ベトナムに出合いました。5年ぐらい前から海外を行きだしてとある国のの脂っこい料理がだめなので、その国ではいつもスムージーを飲んでいたんですよ。ところがあるときからストローが紙に変わってしまって、なかなかスムージーが吸えないんですよ(笑)。プラスチック・フリーの流れですね。でももっと使いやすいストローはないものなんだろうかと思ったんです。
そこでプラスチックに代わるストローの素材を探しました。名古屋工業大学の先生にヒアリングしたり、生分解プラスチックや竹、木、ステンレス……どれもしっくり来なかった。
ある日、ベトナムの行きつけのイタリア料理屋さんで米ストローが出てきて「これだ!」と思いました。口当たりがよくて飲みやすい。それで現地の友達に「これどこで作っているか調べてくれ」ってお願いしたら、あるITオフショア開発の社長さんが、僕の友達が作ってるよって、米ストローの社長さんを紹介してくれて。そこから次の週ぐらいには会社に行って打ち合わせを進めました。まだ衛生面や輸出入の管理などまだ調べなきゃいけないことがあるので、いまは工場と調整したりClubhouseでコンタクトとったりして進めています。
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