EVENT | 2026/07/27

聞こえない世界を知ってほしい。
ろう・難聴者の感覚を体験する 「Deaf VR」
理解の輪を広げるため支援募集を開始

全国8都市での体験会開催を目指し、クラウドファンディングを開始

文・カトウワタル(FINDERS編集部)

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株式会社シー・エヌ・エスは、ろう・難聴者が日常で感じている 「聞こえない・聞こえにくい世界」 を疑似体験できるVRコンテンツ 「Deaf VR」 の全国展開を目指し、2026年7月27日(月)10時からクラウドファンディングを開始した。

歩道のない道を歩くとき、家族と食卓を囲むとき、カフェの店員から突然質問されたとき。聞こえる人にとって何気ない日常の場面も、ろう・難聴者にとっては、不安や孤立感、周囲との認識のズレが生まれる場面になることがある。

Deaf VRが再現するのは、単に音量を小さくした世界ではない。360°映像と空間音響によって、音がどのように届き、どのような情報が失われ、そのとき当事者が何を感じるのかを体験者に問いかけるものだ。

音を小さくするだけではわからない、日常に潜む不安や孤立感

日本では、およそ9人に1人が難聴であるとされている。一方、ろう・難聴者が具体的にどのような聞こえ方をしているのか、日常のどのような場面に困難を感じているのかについて、社会の理解は十分に進んでいるとは言い難い。

たとえば会話の内容が聞き取れない場合でも、聞き返すことへのためらいや、周囲の会話から自分だけが取り残される感覚まで、外から見ただけではわからないことが多い。

Deaf VRでは、歩道のない道、家族との食事、カフェでの注文といった身近な場面をVR空間に再現する。体験者は映像と音の変化を通じて、 「聞こえにくい」 ことが安全面やコミュニケーション、人との関係にどのような影響を及ぼすのかを体感できる。

耳栓などを使い、単純に音量を下げるだけの体験とは異なる点も特徴だ。聞こえ方の違いによって生じる心理的な不安や、状況を把握できない感覚まで含めて提示することで、これまで見過ごされてきた課題を自分ごととして考えるきっかけを生み出す。

先天性難聴の娘との生活から始まった、父親によるVR開発

Deaf VRの開発を担当するのは、シー・エヌ・エスの牧村正嗣だ。

牧村がプロジェクトを始めた背景には、先天性難聴の娘との生活があった。娘との関わりを通して、ろう・難聴者が直面する課題や、聞こえる人との間に生まれる認識の違いに気づき、その感覚を多くの人に伝える方法としてVRに着目した。

2018年から360°映像と空間音響を用いた開発を進め、これまで首都圏を中心としたイベントなどで、約2800人がDeaf VRを体験してきた。

体験者からは、ろう・難聴者の世界を初めて自分ごととして考えたという反響が寄せられているという。また、首都圏以外からも、地域や学校、職場で体験会を実施してほしいという声が届いている。

しかし、VR機材の準備や運搬、会場設営には多くの費用と時間が必要となる。そのため、これまでは体験会を実施できる地域が限られていた。

Deaf VRの開発を担当しているシー・エヌ・エスの牧村正嗣(左)
これまで首都圏を中心としたイベント会場等で累計約2,800名が体験してきたという

「聞こえる前提」 を問い直す体験を全国8都市へ

今回のクラウドファンディングでは、全国主要都市でDeaf VRの体験会を開催するため、330万円の支援を募る。

開催予定地は、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、松山、福岡、那覇の8都市。クラウドファンディング終了後、約1年をかけて各地で体験会を開催する計画だ。

本プロジェクトが目指しているのは、VRを一度体験して終わる啓発活動ではない。今後は体験後の対話やワークショップも展開し、参加者同士が感じたことを共有しながら、職場や学校、地域でのコミュニケーションを考える場をつくっていく。

牧村らが掲げるのは、 「社会課題は、存在しないのではなく、認識されていないだけ」 という考え方だ。聞こえる人を基準につくられた社会では、聞こえない人が感じる困難は見えにくい。だからこそ、説明を聞くだけではなく、相手が見ている世界に一度立ってみることに意味がある。

Deaf VRは、ろう・難聴者の感覚を完全に再現するものではない。それでも、これまで気づかなかった不便さや孤立に目を向け、 「聞こえることを前提にしていなかったか」 と問い直す入口にはなり得る。

技術によって別の世界へ逃避するのではなく、隣にいる誰かの世界へ近づく。Deaf VRが提供するのは、そんな新しいVR体験である。


Deaf VR全国展開プロジェクト
プロジェクトタイトル: 「聞こえる前提」 を問い直したい!Deaf VR全国展開プロジェクト実行者:株式会社シー・エヌ・エス
プロジェクト担当:牧村正嗣
目標金額:330万円
募集形式:通常型・All or Nothing形式
募集期間:2026年7月27日(月)10時~9月24日(木)23時
資金使途:全国主要都市でのDeaf VR体験会開催費用
開催予定地:札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、松山、福岡、那覇

クラウドファンディングページ
https://readyfor.jp/projects/DeafVR

公式Instagram
https://www.instagram.com/inclusiveexperienceunit

公式X
https://x.com/cns_inclusive?s=11&t=-54rwdperIC6aXAU3AthBA

CNS Inclusive Experience Unit公式note
https://note.com/cns_official/n/ncd6f1692d9ec

株式会社シー・エヌ・エス
https://www.cnsinc.jp/