文:山田山太
口紅やシャンプーなど、化粧品を試験する際に行われる動物実験。人体への安全性を確かめることを口実に、多くのウサギやマウス、モルモットがその犠牲となってきた。
しかし、近年これを問題視する声が世界中で高まっており、特にアメリカ国内での動きが活発化しているようだ。
動物実験済みの化粧品販売も禁止
先月、米国バージニア州のラルフ・ノーザム知事は2022年1月1日以降、州内で化粧品の動物実験、及び動物実験済みの化粧品の発売を禁止する人道的化粧品法「Humane Cosmetics Act」に署名した。米国内で化粧品の動物実験禁止を法制化した州は4州目となった。
最初にこの取り組みを行ったのはカリフォルニア州。2018年に法案を可決し、化粧品の動物実験を禁止とした。そして2019年にネバダ州とイリノイ州も続いた。現在、ニュージャージー州、メリーランド州、ロードアイランド州、ハワイ州、ニューヨーク州、オレゴン州も同様の法案を検討中だ。
米国動物愛護協会立法基金の会長のサラ・アマンダソン氏は、バージニア州の決定を喜びながら、「化粧品開発の動物実験は、人間への安全性を確かめるのに必要ありません。毎年何千もの動物たちが化学物質を目の中に入れられたり、皮膚にこすりつけられるなど、過酷な実験に耐え、その後殺されているんです。今や、動物実験を行わずとも、新しい商品を作るための成分はすでに何千種類も確保されているのです」と述べた。
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日本を含む、世界の約80%が動物実験禁止を法制化せず
欧州議会は2018年に化粧品の動物実験の世界的禁止を目指す決議を採択した。この決議文によると、世界の約80%の国々が、動物実験、及び動物実験済みの化粧品の発売の禁止を法制化していないという。この中に日本も含まれる。未だに化粧品の動物実験を続けている企業が残っているのが現状だ。
しかし、消費者から厳しい目が注がれれば、企業の態度も変わっていくもの。愛用の化粧品のメーカーが不要な動物実験を行っているのかを調べてみてはいかがだろうか。