EVENT | 2021/02/26

元サッカー日本代表が導く“腸内環境×テック”の最前線 鈴木啓太(AuB株式会社)【新連載】スタートアップ&ベンチャー 異能なる星々(01)

VUCAと呼ばれる不透明な時代のただ中で、新たな道を切り拓くため立ち上がった有志たち。彼らは何を見据え、前例のないゲーム...

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“脳腸相関”の視点から、人々の心と体をサポートしたい

ーー 現在は東京・日本橋に専門家が常駐して便のDNA解析などを行う研究拠点を設けるほか、個人向けの腸内フローラ検査キット「BENTRE(ベントレ)」も展開していますね。

鈴木:はい。検査キットに関しては利用者の腸内細菌の構成や、太りやすさや免疫力に与える影響を可視化し、管理栄養士が食事や運動に関するアドバイスを行うことで人々の行動変容につなげたいと考えています。“脳腸相関”と言われるように、アスリートに限らず脳と腸の間には密接なつながりがあり、例えば経営判断の正確さや前向きなチャレンジなどメンタル面にも大きな影響を及ぼします。こうした観点から、ビジネスアスリートの方などのサポートにもつなげていきたいと考えています。

また、食品メーカーやプロ野球チームとの取り組みに加え、京セラとはAIを活用して便の臭いから腸内環境の傾向を予測し、健康に役立てる共同研究を進めています。我々の目標は、一人ひとりに自分の体にまつわる気付きを広げることで、世界につながるヘルスケアのコミュニティを作ること。会社を大きくしたいというよりも、人々がより豊かな生活を送るお手伝いをしていきたい。そう考えています。 

京セラとの共同研究では、同社のAI技術を応用して便の臭気から腸内環境の傾向を予測するシステムを開発するほか、腸内の細菌構成のデータを社員の健康に役立てるなど、“健康経営”のビジネスモデル確立に向けた実証実験を行う。(画像:AuBの腸内環境検査キットの結果レポート例)

ーー 突出した技能を持つアスリートの知見を社会のために役立てていくことで、これまでは遠い存在だったアスリートが、世の中の健康を支える存在へと変わっていくかもしれませんね。

鈴木:まさに、そんな世界を作りたいんです。アスリートにせよ、それ以外の分野で才能を発揮されている方々にせよ、それぞれの得意分野を活かして支え合う社会になったらいいなと思います。アスリートは自分の身体の限界を求めてチャレンジしていく人々ですが、そのコンディショニングのデータで世の中の健康に貢献しつつ、さらに応援してもらえるような仕組みにつなげられたら嬉しいですね。そう思えばこそ、僕自身も会社経営という初めての領域でハラハラドキドキの連続ではありますが、毎日を面白いと感じています。

経営的な局面で、通常であれば“お腹が痛くなりそうなこと”もたくさんありましたよ(笑)。でも現役時代の経験だって、思い返すのはうまくいかなかった時のことばかり。だからこそ、面白いんだと思うんです。小説も映画も、ずっとうまくいってばかりの筋書きじゃあ面白くないでしょう? それに、心身共に健康でさえいられれば、きっと乗り越えられるはず。だからこそ、より多くの方々と一緒に、このチャレンジを続けていきたいと思います。


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