高須正和
Nico-Tech Shenzhen Co-Founder / スイッチサイエンス Global Business Development
テクノロジー愛好家を中心に中国広東省の深圳でNico-Tech Shenzhenコミュニティを立ち上げ(2014年)。以後、経済研究者・投資家・起業家、そして中国側のインキュベータなどが参加する、複数の専門性が共同して問題を解くコミュニティとして活動している。
早稲田ビジネススクール「深圳の産業集積とマスイノベーション」担当非常勤講師。
著書に「メイカーズのエコシステム」(2016年)訳書に「ハードウェアハッカー」(2018年)
共著に「東アジアのイノベーション」(2019年)など
Twitter:@tks
これぞスマートシティ。世界一宅配便が便利な国
僕は去年11月から深センに戻って活動している。入国者すべてに課せられる14日間の隔離(変異株が現れてからは21日間に延長された)は面倒だったが、隔離後は通常通りの活動が行えている。
僕の仕事は国際事業開発なので、新型コロナの蔓延前は、年間100回ぐらい飛行機に乗っていろいろな国を飛び回っていた。どこの国が好きかは好き嫌いがあるし、文化に優劣はつけられないが、最も便利に暮らせる国はどこかと言われると、やはり今住んでいる深センだ。
世界で一番宅配受け取りが便利なのは、中国の大都市だろう。中国の宅配便は高度にネットワーク化されていて、注文したものがいつ発注を受け付け、倉庫で発送業務にかかるかはもちろん、いくつかの集配所を経て手元まで届くのかがすべてマップ付きでネットで追える。
大手通販サイトのタオバオで購入したものはこうして届くまでの履歴が表示される。自分の住所の市内に入るなど、近づいてくると地図の解像度が上がる
多くのアパートには共有の宅配ボックスがあり、通販の注文時にあらかじめ「どこの宅配ボックスに入れておいてくれ」と指定することもできるし、宅配ボックスがどこにあるかもネットで場所を追える。宅配ボックスに入ると自動で通知が来る(受け取りが遅れると課金される)ので、指定のボックスが満杯で別のボックスに届けられた時も安心だ。
最初から宅配ボックスを指定することや、スマホに届いた通知からその場で配送先を変更することもできる
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