当日まで知らなかったレーダー探知機の存在
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最後は、裁判官からの質問です。
裁判官「運転の頻度は?」
O被告人「通勤程度です」
裁判官「現場を通ったことは?」
O被告人「1~2回はあると思います」
裁判官「首都高を運転したことは?」
O被告人「あります」
制限速度が80~100キロだという認識の被告人に現場を通った経験と首都高を走ったことがあるのを確認した上で、改めて質問がされました。
裁判官「首都高って、他の高速よりも道も狭くて、制限が60キロとか、50キロのところもあるんだけど…毎回100キロで走ってたんですか?」
O被告人「いや、いつも渋滞してて」
首都高に乗ると毎回渋滞とはツイてない。事故渋滞とかがあると、普通の道路の方が早く着いたりすることもありますからね。100キロどころか、法定速度以下のスピードでしか首都高を走ったことがないのかもしれませんね。
裁判官「あと、レーダー探知機の使い方は当日知ったと。この日まで何だと思ってたんですか?」
O被告人「音がうるさくて…。パトカーが近いとブーブー鳴るので、警察官を教えてくれる機械かと」
どういう仕組みですか、それ。銀行強盗した後の逃走で大活躍しそうだけども。
裁判官「オービスの位置を教える機械とは知らなかったんですか?」
O被告人「はい」
裁判官「買う時にも説明なかった?」
O被告人「はい」
説明ありそうなもんですけどね。首都高の制限速度を間違って覚えた上に、標識も毎回見逃してる人だから、説明を聞いてなかったんじゃないかという疑いもあるけど、レーダー探知機の意味はわかってなかったようです。
裁判官「免許の処分はありました?」
O被告人「いや、まだ…」
裁判官「いずれにせよ。しばらくは運転しない?」
O被告人「はい」
裁判官「今振り返ってどう思いますか?」
O被告人「軽率だったと思います。悔やんでも悔やみきれない…」
と、後悔したところで質問終了。
この後、検察官の論告です。求刑は、懲役3月でした。一方、弁護人の弁論。先輩からの依頼がきっかけのスピード違反で断わりにくかったこと、今まで無事故無違反であること、報道されて社会的制裁を受けていることなどを理由に罰金刑が相当だと述べていました。
そして、被告人の最終陳述。
被告人「今回このような軽率な行動でいろんな人に迷惑を掛けましたし、重大な事故を起こしかねない運転をしてしまったことは、反省しています。二度と、このようなことはしないと約束します」
と、誓って、初公判はこれにて閉廷。
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