リモートワーク時の雑談タイムの重要性と対応策
話は変わりますが、僕が経営するフィラメントという会社では、元々テレワークを日常的に取り入れていました。
そもそもフィラメントは大阪に所在している一方、クライアントはほとんど東京なので、業務遂行のためにテレワークに頼らざるを得ないところがあったということもあります、slackなどのチャットツールを使った方が成果が出やすかったというということもその背景にあります。
そういうわけでフィラメントはもともとテレワーク慣れしている会社ではあったのですが、いざ、完全テレワークとなると、社長としては社員みんなが孤独感や不安感に苛まれていないかどうか、気になってくるものです。
なので、社員同志の不安の解消とコミュニケーション量の維持を図るために「リモートフィーカ」という制度を作ってみました。
「フィーカ」というのはスウェーデン語で「コーヒータイム」を意味するもので、コーヒーブレイクしながら雑談をする時間という意味合いです。
角勝氏のnoteより。
雑談タイムから事業も生まれる?
実際にリモートフィーカをやってみると、社内がゆるくつながって「いつでも誰にでも気軽にいろいろ聞ける」感覚が生まれ、非常に安心感が高くなります。改めて雑談の中に事業のヒントがあることが感じられ、実際に事業が生まれていくだろうということも感じます。
実際にこのフィーカでの会話から生まれた事業として、この「QUMトーーク!」というYouTubeLiveを使ったオンラインコンテンツの配信事業があります。
テレワークをする上で、私が立てた仮説は、仕事上でのコミュニケーションが「今、オンタイムで必然性のある業務」に集中して、その周辺にある「今、必然性はないけど、未来のヒントになるかもしれないカジュアルな会話」がなくなり、それによる不安感・孤独感が高まりやすくなるのではないかということ。
その上で、フィラメントでは意図的な雑談タイムであるフィーカを設けたわけですが、ほとんどの会社ではそんな時間は設定しにくいと思います。
であるならば、全国のテレワーカーのために会社を横断したフィーカのように「ゆるくつながれる感覚を共有できる時間」をつくれたら喜ばれるのではないか?
そんな会話から生まれたのが、この「QUMトーーク!」という番組です。この番組では、毎回テレワーカーの皆さんにアンケートを実施し、その回答をまとめたスライドをネタにフィラメントCSOであり、電脳コラムニストでもある村上臣さんと僕の2人で、雑談的なトークを繰り広げるラジオ感覚の番組です(よかったらチャンネル登録とご視聴をお待ちしています)。
リモートワーク中こそ社外からのインプットを取り入れる!
さて、フィーカの話に戻りますが、これも毎日やっていると、段々話題がなくなってきます。そこで思いついたのが、社外の人でも雑談に飢えている人は多いんじゃないか?ということです。
試しに知り合いに「うちの雑談タイムに来てみませんか?」と誘ってみると、ほとんどの方から(というか、今のところ100%の方から)ご快諾いただいています。
こうしてフィーカに来ていただいた方からは、他の業界についてのお話やその方の人生哲学が垣間見えるお話をお聞きできるなど、非常に有益なインプットがあり、社内研修的な効果も出てくるようになりました。
そんなフィーカに訪れてくださった方々の中に、富士通でエバンジェリストとして活躍されている松本国一さんがいらっしゃいました。この時、松本さんにお聞きした話が興味深かったのでぜひご紹介したいと思います。
強制テレワーク下で二極化していく企業人たち
松本さんがおっしゃっていたのは、大企業で導入され始めたテレワークの現状を見ていると、社員が二極化しつつあるということ。
すなわち「自らガンガン動いていけるタイプ」と「そうでないタイプ」だそうです。
自ら動いていくタイプはテレワークになって、逆に生き生きしています。一方で、「そうでないタイプ」、つまり自ら生産的な働き方ができていない人たちは周囲とのコミュニケーション機会が減り存在意義が急速に薄れてしまっています。
それが具体的にどういう人かというと、たとえば、朝からメールチェックとその返答に数時間を費やす人。発言もなく会議に出席している人や、上司から依頼され会議の議事内容を都合の良い内容だけ取捨選択し、相手を選んで偏向性の高いレポートをする。指示されることで作業を進める人。そんな人をイメージしてみてください。
今、テレワークが常態化していくと、個人個人の働き方がデジタル化され、強制的に働き方が「見える化」されていく。それがテレワークの本質的な価値として表出しつつあるのが今なのだと思います。
「見えない化」で社内のポジションを維持することは困難に
テレワークが常態化することで、「今、オンタイムで必然性のある業務」に業務資源が集中され、それによって不要な会議がなくなり、生み出された業務の成果やアウトプット、進捗状況はすべからくデジタルに共有されていくことになります。
そんな中で、「見えない化」にエネルギーを割いていた因子は存在意義をなくしつつある…というのが松本さんのお話の概略でした。
テレワークが常態化していくことによって、日本企業は否応なくデジタルトランスフォーメーション化していくことになるのかもしれない、そう実感させられるお話でした。
新型コロナウイルスの感染拡大は、悲しむべき災厄ではありますが、これに適応して生き残っていく努力をすることによって、日本企業はグローバルな競争環境の中で力強く生き残れる組織に生まれ変わっていくことができるのかもしれません。
このピンチをとらえて自己変革して行ける企業が増えることを願ってやみません。